CSRって具体的に何をすればいいんだろう

CSRにこれから取り組もうという企業にとってまず頭に浮かぶのは、「一体何をすればいいのかというか」という疑問であると思います。

なので今回は、具体的なCSRの取り組み項目についての話をしたいと思います。まず箇条書きで主なCSRの取り組み項目を挙げると以下のようなものになります。

   ①コンプライアンス・ガバナンスの確認と改定
   ②消費者保護の取り組み
   ③人材活用と人権
   ④社会貢献活動
   ⑤公正な取引
   ⑥環境配慮

ざっと挙げてこんなところでしょうか。順に簡単に説明していくと、

①コンプライアンス・ガバナンスの確認と改定
前回にもちょっと書きましたが、コンプライアンスはCSRを行う上での基本的なルールであり、コーポレートガバナンスは基本的な仕組みとなります。CSRを運用する上で、まずはこの二つが適切なものとなっているのかどうかを確認し、改定するべき点がある場合はそれを見直すところから始める必要があると思います。とってつけたようにCSRを執り行うのではなく、組織の根幹の中にCSR的な考えを組み込んでいくことが肝要です。

②消費者保護の取り組み
わたしたちの生活は消費行動によって営まれています。なので商品の売ってしまえばそれでおしまいというわけには行かず、企業は、自分たちが売っている商品やサービスに対して責任を持たなければいけません。個人情報の保護等、消費者の権利を認めた上で、消費者に対する適切な対応を取れるように、企業は組織だった行動をする必要があります。

③人材活用と人権
もはやパワハラ・セクハラ・過重労働が社会的にNGだということは常識になっています。こうしたブラックな環境に職場がならないように配慮すると同時に、社員のワークライフバランスや多様性などへの配慮をしていくことも今後は常識となっていくことでしょう。また自社の社員だけではなく、サプライチェーン(供給連鎖、原材料・部品の供給プロセス)上で長時間労働や児童労働等の人権侵害が行われていないのかを管理・監査することも大事です。

④社会貢献活動(フィランソロピー)
NPOやNGOなどへの寄付をはじめとする支援活動がまずは頭に浮かぶと思います。そのほかにも社員によるボランティア活動の推進やいわゆるプロボノ(仕事で培った経験やスキルを生かして取り組む社会貢献活動)としての社員の派遣など様々な支援活動があります。ちなみにCSR=社会貢献活動と思われがちなところもありますが、企業の社会貢献活動(フィランソロピー)とは、本業とは関係が薄い企業市民活動の総称です。CSRは、社会貢献活動(フィランソロピー)に取り組んでいるからといって免れられるものではないという点に注意が必要です。

⑤公正な取引
バナナやコーヒーなどに関する貿易の話で、フェアトレードという言葉を一度は聞いたことはないでしょうか? これは弱い立場にある途上国の生産者や労働者に対し、より公平な条件下で国際貿易を行うことを目指す貿易パートナーシップです。そのほかにもサプライチェーンに対して、不当な取引をしていないかなど、企業は目を配らせる必要があります。

⑥環境への配慮
労働環境や商品の安全性といった問題だけじゃなく、自社の経済活動が環境破壊の関わっていないという点でも精査する必要があります。もちろん企業は、自社だけじゃなく、自社と関わるサプライチェーンに対しても厳しく管理しなければいけません。このために近年では盛んに国際的な認証制度が利用されています。明確な基準があり、国際的に統一され、その基準に適合しているかどうかを第三者が定期的に認証する認証制度にパスをする。そのことによって、その企業の経済活動により大きな信頼性が置かれるのは間違いありません。

以上ざっとですが、駆け足で主なCSRの取り組み項目をまとめてみました。もちろん企業の特性によっては、このほかにも様々なCSRとしての活動はあると思います。今回取り上げた項目をより深く紹介していくとともに、その他の取り組みに対しても今後紹介していきたいと思います。