パワハラは美談にはなりません。決して。

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こういう記事を読むと、げんなりするというか、正直、まだまだ日本も社会的に立ち遅れた国なんだなと思ってしまいます。

ソフトバンクグループに入った人が、YAHOO!BBの立ち上げに参加し、そこで孫正義氏をはじめとする色々な上司から社畜同然に扱われるも、おかげで経験値が身に着いた云々と言う話なのですが、ようするに、これ、普通にパワハラの話ですよね。

何か、こういう話がちょっと美談の方向に持っていかれることが往々にしてよくありますが、正直ちょっと違和感を覚えます。
まずすべての話が、ソフトバンクという社会的に成功を収めた会社の中で起きたことであり、またこの人自身も結局生き残った人であることを前提として、話が進むので、結局はあのパワハラまがいの厳しさも教育的な指導であり、ありがたい話だったという話に落ち着いてしまいます。
しかし、冷静に考えれば、この人は生き残ったものの、おそらく生き残れずに辞めて行った人たちもたくさんいるだろうし、それにそもそも、それが誰もが知っている大企業であるソフトバンク関連の話の中で行われたから許されるとか、時代の革命児である孫さんが言ったことだからしょうがない、という話には決してなりません。

何か、こういう厳しさを美談にするのって、本当に日本の慣習的な古さであり、ダメな点でもあると思うんですよね。
厳しさの中で、耐え抜いた奴だけがスキルを身に着け、上の立場に立てるって言う話、ホントにいい加減にしてほしいです。
会社は、軍隊ではありません。どうも日本の場合、会社の上下関係や学校の部活動などに、この旧日本陸軍的な発想が生き残っているのですが、よく考えてみてください。このやり方は、結局、会社にとっても損な話になると思うんです。

確かに、この記事のように力づくで社畜にして、スキルと経験を積み込ませれば、特定の耐久力のある人は通常の教育よりも早く育ちます。
ただ先ほども言いましたが、この方法ではただ耐久力がないというだけで多くの人が辞めてしまう可能性が高いです。
しかもその辞めてしまう人の中に、優れた独創性を持つ人がいるかもしれません。
またせっかくこの記事の人のように育っても、ある程度スキルと経験が身に着けば、そんなブラックなところにいるよりもそこで得た知識や経験を活かすべく転職をしてしまう可能性があります。実際、この記事の人も4年で転職していますしね。

少し時間がかかったとしても、会社としてキチンとした教育を施す方が、間違いなく離職率は下がります。
またある程度スキルと経験を身に着けたとしても、自分たちが育ててもらったという意識があるはずなので、より長く会社に残って後進の指導に当たってくれるという可能性は高まるはずです。

頭のいいはずのこの人たちなら、すこぶる単純な話であるのでわかるはずだと思うのですが、それが出来ないのは、ようするに「教育をする」ということが文化としてちゃんと根付いていないからなんですよね。だから、中学くらいのときに植え付けられた上下関係の論理がそのまま大人になっても持ち越されていて、もちろんいい意味でのロールモデルがないものだから、パワハラまがいのことを繰り返して、それを教育だとはき違えるわけなんです。

記事の中に、孫正義氏が出てきますが、彼がすごい人だということはみんな知っています。でも、すごい人だからといって、何をしてもいいわけでもありませんし、やっていることがいつも正しいとも限りません。
たとえば、YAHOO!BBのことが記事では成功例のように謳われていますが、実際に文章を読む限りでは、後発事業を無理に軌道に乗せて自社の利益にするために、かなり強引なやり方でそれを成し遂げているようにしか思えず、そこには会社の利益だけが目的で、社会的な還元は何もないような印象を受けました。
実際に、安さの元を取るべく、家電を買う時などに無理に契約まで持っていくような強引な商法も当時目立っていましたしね。

より安い商品やサービスを世の中に普及することは確かに大切なことだと思いますが、会社の利益を追い過ぎて、会社そのものがブラック化してしまえば、それは本末転倒です。
会社も、社会の一部であり、会社がキチンとした形で社員教育をすることこそが、結局はその会社にとっての持続可能性を高めます。

これまでにない人手不足の時代だからこそ、「教育」のあり方というものを今一度よく考えてほしいですね。

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