NPO・社会的事業をどう評価するのか?③  ~事業評価について・社会的インパクト評価(2)~

社会的インパクト評価イニシアチブにおいて、社会的インパクト・マネジメントを実践するためには、基本的には「インパクト・マネジメント・サイクル」を回し、そこに評価の諸作業を組み込んでいくという流れになっています。

「インパクト・マネジメント・サイクル」とは事業を運営する際のマネジメント・サイク ルの一種です。以下の4つのステージとそれを支える1つの要素から構成されます。

第1ステージ:計画(Plan)
第2ステージ:実行(Do)
第3ステージ:効果の把握(Assess)
第4ステージ:報告・活用(Report & Utilize)
すべてのステージを支える要素:組織文化・ガバナンス(Culture & Governance)

この流れを目標とする社会的テーマに取り組むためのサイクルと捉えて効果的に回していくということですね。

これに5つのプログラム評価を対応させていくことで、事業目的の達成に向けた「インパクト・マネジメント・サイクル」の実践を支援していきます。

第1ステージの「計画(Plan)」 → 事業目的の妥当性の評価(ニーズ評価)
→ 事業設計・計画の妥当性の評価(セオリー評価)
第2ステージの「実行(Do)」  → 事業の実施過程の評価(プロセス評価)
第3ステージの「効果の把握(Assess)」
→ 事業を通じて生み出された 変化の評価(アウトカム/インパクト評価)
→ そのために投入した資源に関する評価(効率性の評価)
第4ステージの「報告・活用(Report & Utilize)」
→ これらの評価を通じて得られた情報に基づき意思決定や報告を行う。

ロジックモデルの手法は、ここで効果的に活用されますね。

こうして実践されるサイクルの結果として、社会的インパクト評価は必要な情報を提供してくれます。

ただ、これらの流れは何となくやっていいわけではありません。もちろんそこには確固たる原則が必要になってくるわけですね。

社会的インパクトイニシアチブでは、適切な意思決定や報告がなされるためには、プログラム評価の考え方や手法を活用しつつ、「社会的インパクト評価の5+2原則」にしたがって評価が行われる必要があると言っています。

[社会的インパクト評価の5+2原則]

a.ステークホルダーの参加・協働
b.重要性(マテリアリティ)
c.信頼性
d.透明性
e.比例性
         +
f.経時的比較可能性
g.一般化可能性

まあ、どれも当たり前と言えば、当たり前の原則ですね。ただサイクルを実践していく上で、迷った時や困った時に立ち返るためには、これらの原則をハッキリと意識していた方が頭の整理がしやすいのではないかと思います。

ちなみに「5+2原則」のうちの「5原則」は、 社会的インパクト評価においては必須であり、「+2原則」は、インパクト・マネジメントの目的に応じて適用すべき原則となっております。

最近では、非営利団体法人だけでなく、一般的な企業でも社会的インパクトを無視できなくなってきました。企業もその活動の中で、環境への影響や人権、多様性など、社会的責任(CSR)が求められるようになってきたからですね。
つまりは、売上や株価のような目に見える財務上の数字だけでない情報がリスクマネジメントの上でも投資の上でも大切になってきたということです。

社会的インパクト評価をどうやっていくかということは、こうした社会の流れから見ても、ますます重要なことになっていくことは間違いないでしょう。

どんどんと事例が増えていくことで、評価の仕方がより洗練されていき、もはやどの団体でもそれをするのが当たり前のレベルで広がっていくといいですね。