NPOの会計基準

寄付金収入や助成金・補助金が収入の多くを占める非営利団体組織にとって、会計は支持者や助成団体にお金が適正に使われているかどうかを証明するものとして重要なものです。

非営利団体組織の会計基準は、企業の会計とは異なり、また法人の種類によっても異なります。まずは法人ごとに何が求められているのかを見てみましょう。

・一般社団法人    →    貸借対照表、損益計算書
 一般財団法人         ※どのような会計基準で損益計算書を作成するかは決められていない。

・公益社団法人    →    貸借対照表、正味財産増減計算書、財産目録
 公益財団法人         ※公益法人会計基準に則して作成

・NPO法人     →    貸借対照表、活動計算書、財産目録
 認定NPO法人        ※NPO法人会計基準に則して作成

・社会福祉法人    →    貸借対照表、資金収支計算書、事業活動計算書
                財産目録
                ※社会福祉法人会計基準に則して作成

正味財産増減計算書や活動計算書は、企業における損益計算書に相当するものですね。NPO法人の活動計算書は、当面の間は収支計算書でもよいことになっています。
   
NPO法人会計基準の活動計算書をもう少し詳しく見てみると、まず活動計算書は、収益の部と費用の部に分かれます。さらに収益の部は、「受取会計」「受取寄付金」「受取助成金等」「事業収益」「その他収益」に、費用の部は「事業費」「管理費」に分かれます。

活動計算書   
→ 〈収益の部〉「受取会計」「受取寄付金」「受取助成金等」「事業収益」「その他収益」
→ 〈費用の部〉「事業費」「管理費」

また収益の部に関しては、別の分類方法として「使途が制限されている財源」と「使途が自由である財源」に分けられます。
この辺が非営利財団法人の会計の独特のところなのですが、要するに助成金・補助金や寄付金などは、それを得る条件としてそのお金の使い道に制限がある場合があるので、その場合、その制限の範囲以内でちゃんとお金を使っているということを会計上示さなくちゃいけないんですね。

支援性の財源で使途が自由  →  受取会費、使途制限がない受取寄付金

支援性の財源で使途が制限  →  受取助成金、受取補助金 使途制限がある受取寄付金

対価性の財源で使途が自由  →  自主事業収益

対価性の財源で使途が制限  →  受取事業収益

ここでややこしい会計処理をしなくちゃいけないのが、使途制限がある受取寄付金です。使途が制限されていない場合とはまた違いますからね。簡単にまとめるとこんな感じになります。

NPO法人会計基準 
→ 貸借対照表、活動計算書上は、使途が制限されていない受取寄付金と同じように表示する。
 「財務諸表の注記」に、使途ごとに期首残高、当期増加額、当期減少額、期末残高を記載する。

公益法人会計基準  
→ 正味財産増減計算書を「一般正味財産増減の部」と「指定正味財産増減の部」に分けて表示する。
  貸借対照表も「正味財産の部」を「一般正味財産」と「指定正味財産」に分けて記載する。

まあ、会計の専門家以外は、実際にやってみなくちゃわからないといった感じですね。

非営利活動法人の場合は、これらに加えて、特定非営利活動に関わる事業とその他の事業を、また課税対象になる事業と、課税されない事業とを分けて計算しなくちゃいけないので、なかなか大変です。
ただあくまで非営利活動法人は、社会課題の解決のためにいただいたお金を使うことが多いので、その辺りを良く意識した上で、会計も誠実に行わなければいけませんね。