楽天石井一久GMはなぜここまで嫌われてしまったのか?

プロ野球楽天ゴールデンイーグルスの石井GMが多くの野球ファンから嫌われています。しかも一部の楽天ファンからのイーグルスは好きだけど、石井は嫌いと言われている始末です。
石井GMといえば、メジャーでも活躍したほどの往年の名投手ですが、ちょっと家族が心配になるほどの嫌われようです。まあ、確かにここ何年かの楽天の金遣いというか、やり方というかにはファンを刺激するものが多いのは確かなんですがね。でも、それにしてもチームを強くするためにやっているというのに、ここまで嫌われる人も珍しいです。
石井GMといえば、確かに現役時代から独特な言い回しが有名で、クセがあるものの、そうしたキャラが意外と受けていました。神田うのさんと付き合っていたり、フジテレビの人気アナだった木佐彩子さんと結婚したりと、女性にもモテ、また西武時代には涌井投手や岸投手、それに菊池雄星投手などにも慕われていました。
なので、テレビで映る姿はどうであれ、たぶん実際に接すると人間的魅力がある人なんだと思います。少なくとも、変わった人ではあったかもしれませんが、威圧的な態度を取るようなタイプでもなく、社交性も充分にある人なのでしょう。
実際に、慕われているからこそ古巣のライオンズからの引き抜きを成功させているわけですからね。
でも、それだけ人間的魅力を兼ね備えた人であっても、ファンからは嫌われるようになった。
それは、たぶんに楽天のGMという職と彼のキャラクターを代えてしまったのか、または彼のキャラクターがそもそもGMという職のイメージに合っていないか、その両方に原因があるのでしょう。
ていうか、テレビやネットの発言を見て思うのですが、まずGMとしてこの人、説明が足らなすぎます。。。
これって、単純なようで結構大事な話なんですよね。もう少しきちんと説明すれば、理解されるようなことでも、独特の言い回しで、人にあまり理解されないような言葉遣いをするので、誤解される。まあ、誤解かどうかわかりませんが、とにかく相手を苛立たせる。
タレントとしてのキャラならそれで許されるかもしれませんが、GMという立場は、キチンと物事を説明する責任がある立場なので、それではダメです。そりゃ、コイツ何言っているの?って感じになりますよね。
それと、これは彼だけの責任ではないのですが、楽天という球団のビジョンそのものが従来の日本の球団運営のやり方を真似るのではなく、どちらかという言えばメジャー型の運営を目指しているという点も、その責任者としての彼に嫌悪感を抱かせる理由になっていると思います。
今はやりのメジャー流の経営とは、要するにデータを超重視する経営です。向こうではもはや野球経験者がGMをするのではなく、データをうまく扱える人間がGMをするのが主流になっています。なので、選手だけでなく、監督さえも、フロントの意向を通じて実際に戦術を変えたり、選手を交代したりと、ヘンなことになっています。イチロー選手が引退会見で遠回しに批判していたのが、こうしたメジャーの傾向ですね。
でも、日本ではある程度データは重視するようになったものの、さすがに現場の裁量権は監督コーチに重きが置かれていて、その点、この今はやりのメジャー型のフロントが試合中の現場にすらもどんどん介入するという野球を目指しているのは楽天だけです。
まあ、その良し悪しはおいておいて、とにかくそのフロントがガンガン介入するデータ超重視の野球というのが、ハッキリ言って日本ではまだまだ全く受け入れられていないんですね。まあ、メジャーでもイチロー選手のように疑問に思っている人も多いと思いますが、とにかく日本では全く浸透していない。むしろ人間味のないものとすら思われて嫌われている。
でも、石井GMの考え方は、明らかにこうした楽天のやり方と親和性があり、だからこそ楽天GMとして採用されたんですね。
石井GMがやったことで、ファンから糾弾されているものとして、
・最下位からAクラス入りさせた平石監督を解任した。
・高卒二年目の西巻選手を支配下登録から外した(西巻選手はその後ロッテに移籍)
・功労者である嶋選手を追い立てるかのように自由契約にした。
などが挙げられますが、本来日本の野球観ならありえないことでも、楽天=石井GMの考え方としては、理屈的にアリなのです。たぶん。
そして、彼らの考え方からしたら、そうした方が効率的で、来期優勝するためには必要だと思ったからこそ断行したのです。
でも、従来の日本の野球を基礎として見ているファンにはそれがとても冷たく見える。
しかも、それに加えて古巣のライオンズなどからこれでもかというほど金にものを言わせて選手を引き抜いていて、それが巨人の姿と重なってアンチ巨人からはとても下品に見える。

おそらく石井GMからしてみれば、自分はチームを強くするために、やれることを全部やっているのに何が悪いんだ?という感覚だと思います。
実際にそれがGMの仕事であることは確かであるし、その良し悪しは別として、GMという職に就いている本人が、それこそがチームを強くするためにやっているのだから、何も悪いことはしていないのです。
そう、チームを強くするという一点においては、ね。
ただ石井GMにしても、楽天にしても、明らかに欠けている視点が一つあります。ファンはそれが分かっているから、石井GMに嫌悪感を抱き始めているのです。
彼らが欠けている視点、それは社会がなければ自分たちも存在出来ないという視点です。
つまり、チームを強くするのは結構なのですが、チームとはリーグが健全に機能していて初めて存在しうるものであり、リーグが健全でなければ、いずれファンはプロ野球をつまらなく思い始め、ファンは間違いなく減ります。
先日、石井GMがFAで選手を獲得した際の人的補償の撤廃の希望を口にしていました。
では、想像してみてください。お金がある球団だけが代償も払わずにFA等でガンガンと有力選手を獲得していく世界を。
おそらくそうなれば、マネーゲームになり、お金がある球団だけが毎年のように優勝するようになります。たぶん、お金がある3,4球団を残して、ほかのチームのファンは激減していくでしょう。
そのことが何を意味するのか?
そうした話になれば、必ずお金がある企業がそうした球団を買えばいいという人がいます。では、ソフトバンクや楽天とマネーゲームが出来る企業が日本にあとどれだけあるのか?
自分たちさえよければいいという運営の仕方は、間違いなく結果的に自分たちの首を絞めることになります。
環境問題とか、野球以外の話でもこれは言えることですよね。
そう言う意味では、そうした社会性のない石井GMが嫌われるのは必然なのかもしれません。まあ、本来は石井GMが、というよりは、三木谷オーナーをはじめとする楽天の考え方そのものの方が問題あるのですが、でも、ここではやはり顔となっている石井GMの方にまずは批判が集中してしまうのでしょう。
それでも勝てばいい。
石井GMはきっとそう思っています。そりゃそうです。どんな手を使っても、勝たなければ、自分の首が危ないんですからね。
だから、社会、つまりは他のみんなのことなど考えられない。
それもいいでしょう。それも一つの考えただとは思います。そりゃ、自分が応援するチームが優勝するのは楽しいですからね。
でも、いかなる手段を使っても、他人を蹴散らして、人を支配することに何の価値があるのか。

今秋のドラフト会議で、競合で1位指名を受けた佐々木朗希選手の抽選の際、くじを引く他の人たちが一様に緊張を楽しんでいるような顔をしていたのに対して、石井GMだけが苦し気な顔をしていたのが忘れられません。
最近の急激な老け方をみても、単にGMという職を楽しんでいるだけでなく、苦労もすごくあるんだなというのが伺えます。おそらく12球団で一番本社の介入が激しそうですし、FA等でお金が湯水のように使われている分、口も出すという姿勢のなかで、板挟みになることも多いことでしょうしね。
たぶん、来期の成績次第で、石井GMへのバッシングはさらに高くなる可能性もあります。
楽天型の運営方法が新風を巻き起こすのか、従来の野球観に倣ったやり方が反駁をするのか、それを占う意味でも来期のシーズンは楽しみですね。

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