就職氷河期世代は「甘え」ているのか?を新実在論で斬ってみる

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中国新聞で就職氷河期世代への支援の記事を載せたところ、それよりも上の世代であるバブル世代や団塊世代から就職氷河期世代は甘えているのでは?という意見があり、それをまた記事に載せたところ、ヤフーコメントが炎上していました。
まあ、そりゃ、炎上しますよね。
典型的な世代間闘争ですね、これは。
でも、こうした世代間闘争は結局双方に折り合いがつかず、不毛に終わることがほとんどなんですが、今話題になっている哲学者のマルクス・ガブリエルさんの新実在論の考え方をしてみれば、もうちょっとわかりやすく、解決の糸口になるのではないかと思いました。
新実在論、いわゆる、「世界は存在していない」で話題の考え方ですね。
かなりわかりやすく解釈すると、ようするにそれぞれに共通する世界はないのだから、まずはそれを自覚するべきだという話です。
つまり、バブル世代や団塊世代は、自分たちの経験をもとに就職氷河期世代は甘えていると言いますが、バブル世代や団塊世代の経験は、全世代共通の経験ではありません。そして、就職氷河期世代は、自分たちは貧乏くじを引いたと自分たちの経験をもとに訴えますが、これもまた全世代共通の経験ではありません。
ようするに、それぞれがそれぞれの経験をもとにそれぞれの考えを言うのだから、そこに共通点はなく、噛み合わないのは当然なのです。だって、彼らが主張している世界は、そもそも彼らにとって共通の世界はないんですからね。
じゃあ、どうすれば?という話になりますが、話は簡単です。
自分たちの経験だけを一方的に主張したところで、そもそも闘う土俵が違うのだから無意味だということを悟ることです。
そして、次に客観的な事実だけを冷静に取り出して、それのみを判断の基準にすることです。
就職氷河期世代の客観的な事実は、数字にもはっきり出ています。
まずこの時期における明確な内定率の低下
それに非正規社員の増加
そして、その後の少子高齢化と働き盛りのうつ病発生率の増加。
これらのファクトだけで、就職氷河期世代はまず正社員で大手企業に入るのは他の世代よりもずっと困難で、非正規のスパイラルに陥っている人がより多くいることがわかります。
その上に、後の世代の頭数そのものが少ないため、中堅どころになってもその多くの仕事を若手に渡すことが出来ません。
しかも時代が失われた30年真っただ中です。バブル期のように賃金は上がらず、人手不足で仕事だけが増えています。
と、経験抜きで事実だけを積み重ねただけで、バブル世代や団塊世代に比べて、はるかに就職氷河期世代が困難な状況に置かれていることは顕かですね。
それを個人の経験だけで、「甘えている」と論ずるのはかなり暴力的な考え方です。
なので、まあ、炎上するのは当たり前の話なのですが、人間はおろかなもので、どうしても自分の見方から離れられないんですよね。
就職氷河期世代の中ですら、コネ等で首尾よく大企業に入れた人とそうじゃない人とでは、全然世界の見え方も変わってきて、別れてしまいますからね。
冷静に、事実を見て、何をどうするべきなのかを判断してほしいんですけれどもね。

そうすれば、意外と世の中の問題への対処の仕方って見えてくると思うのですが。