ソフトバンクホークスはなぜここまで強いのか。①その理由

日本シリーズ、驚く程呆気なく終わってしまいましたね。多くの人がソフトバンク及びパリーグ球団とセリーグ球団との間で大きな力の差を感じたことと思います。
交流戦で過去パリーグが圧倒的に勝っていることから、みな薄々はわかっていたとはおもいますが、ここに来てその歴然とした差を見せつけらてしまった感じですね。

それにしてもわずか十数年でなぜここまで差が開いてしまったのでしょう。交流戦でパリーグが強いのは、間違いなくソフトバンクの強さに引っ張られる形でそうなったのだと思いますが、ではなぜソフトバンクだけがここまで圧倒的な強さを誇り、それを継続しているのでしょうか?

理由を突き詰めて考えれば、結局はお金がたくさんあるからだという話になりますが、その他に考えていくと、端的に言えばソフトバンクが投資会社であるからとわたしは考えています。多くの人は携帯電話の会社だと思っていると思いますが、ソフトバンクはそもそも投資会社で、その利益のほとんども投資によって利潤をえているんですよね。なので、ソフトバンクの経営陣からしてみれば、携帯電話もホークスも運営していると同時に大事な投資先であり、だからこそホークスについても、ホークスで儲けるには勝ち続ける常勝集団を長期的に作り上げることだと認識をし、そのためにもっとも効率的な方法は何かと投資する側として厳しい視線で見ているんですね。

その結果出てきたのが、三軍制であり、キューバ選手の囲い込みであったわけです。三軍制については、これがホークスを絶えず強くしている要因であるということは大抵の野球ファンなら知っていますね。今シーズン、ダブルエースだった千賀投手も石川投手も、正捕手の甲斐選手も、盗塁王の周東選手もみんな育成枠の三軍出身です。70人枠だけでなく、数打ちゃ当たる方式で一芸に秀でた選手を10年以上にわたり獲得し続ければ、それはそれなりに一軍で戦力になっていくわけですね。

しかし三軍制は巨人も当初から似たような形で育成枠を多く獲っています。ではなぜソフトバンクとこんなにも差がついてしまったのでしょう。それはソフトバンクが読売と違って投資会社であり、あくまで最大限の成果を目指して運営をしているに尽きると思います。そのことが如実に現れているのがFAに対するスタンスです。

巨人のFAに対するスタンスは皆さんご存知の通りとにかく何でも狙いに行くです。巨人は獲りに行かなきゃ失礼だという発言が以前原監督からもあったように、必要不必要に限らず、とにかく獲れそうなものはみんな持って行きます。一見これは良さそうな話に見えるのですが、中長期的な戦略でみればFAで乱獲をすることは必ずしもいい話ではないのです。

まず日本の場合はFAの見返りに人的補償制度があるので若い有望株をこれによって失う可能性があります。広島に移籍した一岡選手などがいい例ですね。あと、これは何より大事なことなのですが、毎年のようにFA選手を獲ることによって、若手選手の出場機会がそれだけ減ってしまいます。いきなり活躍する選手なんてほぼおらず、どんな才能を持った選手も、レベルの高い環境で揉まれることで成長します。でも絶えずウィークポイントである枠をFA選手で埋められてしまえば、当然若手育成のチャンスはそれだけ削がれますし、何よりも若手選手のモチベーションがものすごく下がってしまうのです。

それでもまだFA選手が活躍すればいいのですが、しない場合も多くあります。その場合でも、契約上の関係などで若手選手よりもFA選手をある程度優先して使わなければならない状況はままあり、そうなってくるとFA選手の獲得がただの弊害になってしまうのです。

では一方でソフトバンクはFAに対してどんなアプローチをしているでしょうか?ソフトバンクのFA選手といえば、移籍後も長年活躍した内川選手のイメージが強いので、FAで選手を結構獲っているイメージがありますが、そうでもないんですよね。特に近年は明らかに補強ポイントに合い、かつそれなりの大物じゃないと動きません。

FAで半端な選手を獲るよりは2軍、3軍を鍛えて出場機会を与えた方が中長期的にみればはるかに効率的だということがよくわかっているんですね。若手の選手もそれがわかっているから、みんな切磋琢磨する。つまりはいかに育て上げるか、他の球団にはない三軍制のメリットをいかに活かすかということを前提にチーム作りをしているんですね。そしてこれにポスティングを使っての早期のメジャー移籍を一切認めず、これはという選手に関しては莫大な複数年契約で引き留めるという、選手を出来る限り出さないという姿勢と、優秀な外国人をキューバなどから獲得するというトレンドが加わります。つまりは、

①三軍制を活かした若手の育成
②補強ポイントに合った適切なFA選手の獲得
③自軍の有力選手を出来る限り出さない姿勢
④キューバ勢を中心とした有力外国人の獲得 

とこの四つをバランスよく活かしてチーム力を保持したまま、常にチーム内競争を促して若手の育成を促進するというサイクルが見事なまでに出来上がっているんですね。これに加えて、近年勝ち続けることで勝手に相手に意識させて萎縮をさせていることも、好循環を生む理由のひとつになっていると思います。短期決戦などはまさにそうですね。

ではそんなホークスに他球団はどう対抗すればいいのか。ホークスの球団運営を参考に次回考えてみたいと思います。

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