草津町町議リコール問題が露呈させる日本社会の後進性

草津の黒岩信忠町長が日本外国特派員協会で会見へ。元町議の性被害告発とリコールめぐり、海外でも厳しい報道

草津町の町議リコールの問題、案の定海外メディアが騒ぎ始めましたね。
まあ、当たり前の話なんですが。
そして、それに対するヤフコメのコメントも案の定、「女性が性被害を訴えたら、鵜呑みにするのはおかしい」といった論調ばかり。

記事をちゃんと読めばわかるんですが、海外メディアも被害を訴えた女性の言い分が正しいことを前提になど話していませんよ。
問題は、オープンな議論をしようとせずに、力づくで解決を図ろうとする姿勢そのものを問うているんです。
性被害があったかどうかは、現状わからないし、司法の判断もないんです。
それにもかかわらず、町長の側に立つほかの町議員たちが町ぐるみでリコールを扇動していることに問題があるんです。

草津町長「100%ウソの作り話で、でっちあげだ」 性被害告発の町議は失職

上のニュースによると、町長は会見でリコールの理由を問われて、古来から草津温泉に伝わる「時間湯」という入浴法を町長側が改革したのに対して、女性町議が反対し、町長を失脚させて時間湯が復活できると画策したからだと答えています。
また女性町議が訴える性被害については、デッチ上げだと言っています。

理屈で言えば、もしも女性町議の訴えが女性町議の想像に過ぎないでっち上げだと仮定するのなら、町長のリコールの理由についても、女性町議がそう画策しているに違いないという推測であり、想像に過ぎません。
それなのに、一方的に女性だけが嘘をついているという仮定の下で町が主導して住民投票を行い、しかも大々的に扇動していること自体がおかしいんです。

色々と調べて見ると、おそらくそもそもは時間湯の湯長制度というものを廃止する町長側と、存続を求める女性町議側の争いが発端だったと思います。
町のことを考える上で、意見の違いはあるでしょう。対立して、意見をぶつけ合うのはいいんです。
問題なのは、その意見の違いをオープンな形で話し合わず、力があるものが一方的に決めていくという姿勢であり、海外のメディアはそこを問題視しているんです。
そもそもちゃんとした話し合いがされて、お互いにある程度納得が出来るやり方を見つけられていたなら、こんな大事に最初からなっていません。
力があるものが、単に力がないものの意見を一方的に推し潰そうとしたからこそ、こんなに話がこじれたんです。

まあ、国政も地方議会もそうですが、力があるものが一方的に物事を決めるのでは、議会の意味なんてがないんですよ。
そもそも権力者のYESマンしかいなかったり、議員にほとんど年配の男性しかいないのがおかしんです
だいたい女性の政治家が日本の場合恥ずかしいくらい圧倒的に少ないですからね。そうした状況の中で、多様性のある議論がちゃんと出来ているのか? 民主主義とはそういうものだぞって、海外のメディアは言っているんです。

それに対して、まるで判を押したように、「女性が性被害を訴えたら、鵜呑みにするのはおかしい」って、海外メディアが女性の性問題にすり替えているのではなくて、そんなことを言っている自分たちのバイアスこそが自分たちの感情を肯定せんがために、女性の性問題にすり替えているんですよ。
そうした反応も含めて、自分たちの後進性を露呈しちゃっているんです。

18日に海外の記者向けに町長が記者会見するそうです。何かこの調子だと、また色々と恥ずかしいことになりそうですね。
ていうか、日本のほとんどのメディアがこの話について、炎上を恐れてダンマリを決め込んでいることも問題ですが。

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