最低賃金の引き上げをしなければ、格差はより広がり、日本人がより貧しくなっていくという事実

日本人は最低賃金を抑え込む事の弊害を知らない労働者を買い叩き続ける限りデフレは終わらない

最低賃金について詳しく書かれた記事ですけれど、これは本当にこの記事の言う通りだともいます。
コロナ禍に置いて、いやコロナ禍だからこそ、欧米のほとんどの国は、最低賃金を大幅に上げました。
それは、確かに飲食業などの雇用を考えると、死活問題ですが、もっと大きな経済的な視点でみれば、被雇用者の賃金が上がらない限りは、景気が回復しないことをよくわかっているからです。

まあ、コロナ禍に限らず、欧米各国のほとんどは通常、最低賃金は経済成長に伴って上げています。
そうしなければ、国そのものの経済が成長しないからです。
考えていれば、そりゃそうですよね。
品物やサービスを買う人たちがお金を持っていなければ、経済が回らないんです。
一部の層だけ潤っていてもしょうがないんです。
でも、日本はバブル崩壊以来、最低賃金を抑え続け、結果的に日本人全体を貧しい国民にしてしまいました。

問題は、この記事でも触れているように、最低賃金を決めるのが厚生労働省の役人であって、経済の専門家ではないという点です。
これが何を意味しているのかと言えば、日本では最低賃金の上昇を経済政策として考えておらず、社会政策と考えている点です。
社会政策で、貧しい人間にどれだけ恵んでやるか、という視点でしか考えていないから、上がるものが上がらないんです。
そうじゃなくて、そもそも最低賃金は常態的に上げていくものなのです。

それと、日本人の悪い癖ですが、物事を分かりやすく喧伝し過ぎて感情に訴え、都合の悪い部分は見ずに自分の都合のいい部分だけを見るというところも問題です。
確かに最低賃金を大幅に上げれば、一時的に失業率は上がるでしょう。
それを持って、雇用を守れと騒いでいるのですが、最低賃金が上がれば、自然と皆が品物やサービスを買うようになります。需要が高まれば、供給も高まり、自然と物やサービスの値段も上がり、結果的に企業も収入が増える訳ですから、雇用は守られるはずです。
確かに一部のゾンビ企業など、それで潰れるところも出てくるのでしょうが、そもそもそれはそうした劣悪な環境でしか従業員を雇えない企業に問題があるのです。
韓国の話が完全にこのことを物語っていますね。
2018、2019年と韓国は最低賃金を大幅に引き上げましたが、このとき日本のメディアは馬鹿にしたような感じで、引き上げた直後の雇用の悪化ばかりを報じました。
でも、結果的に韓国の経済成長率は日本よりもずっといいのが現実です。
その後どうなったかを報じない。都合の悪いことは知ろうともしない。これも日本の悪い癖です。

ただこの記事の最後で触れているように、日本における最低賃金の大幅引き上げに一つの大きな懸念材料があることは事実です。
ようするに増大する国の借金ですね。
最低賃金を引き上げれば、景気が上昇し、金利が上がります。
金利が上がれば、日本の借金も増えてしまうので、それはそれで大幅財政出動をしなければいけなくなって困るのです。
まあ、借金があるが故に景気を良く出来ないというジレンマにいつの間にかハマってしまっているわけですね。
この状態で、最低賃金を引き上げて、果たしてどうなるのかは少しやってみないとわからないところは確かにあり、それが怖くて出来ないというのは間違いなくあると思います。

ただこのままだと、間違いなく格差はより広がり、日本はどんどんと世界から置いていかれるばかりです。
現在、自民党の総裁選の最中で、次期総理大臣を誰にすればいいのかを皆論じ合ってますが、個人的には、この問題を一番うまく解決できる人になってほしいです。
韓国とか中国に強いモノ言いが出来るとか、そういうのではなく、冷静に日本の現状を見て、今、日本のシステムをどうすればいいのかを考えられる人をわたしは希望します。