日本、衝撃の2敗目。批判される大迫選手にかつての三浦知良選手を思い出す。

W杯予選、3試合目にして早くも2敗目ですか……
アジア枠が拡大して以来、ここ何回かのアジア予選はすんなりと通過していたので、ここまで苦戦するのは久しぶりですね。
個人的に思い出すのは98フランスW杯のアジア最終予選ですね。
その4年前の94アメリカW杯の予選は最後の最後でドーハの悲劇によって涙を呑んだのですが、このときも苦戦を強いられていたんですよね。
そしてこのときやり玉に挙がったのはカズこと三浦知良選手です。
当時絶対的なエースであった三浦選手は、初戦のウズベキスタン戦こそ4得点と輝いたのですが、その後得点を挙げることが出来ず、不調の責任を負わされて叩かれていました。
何だか、今大迫選手が叩かれている状況と似てますね。
ただこういうチームスポーツはサッカーに限らずそうなんですけれど、どうしても世代交代の波というものがあります。
そのタイミングが94年の予選のときも今も最悪のタイミングで来てしまっているんですね。

具体的言えば、前回のW杯の生き残りである左SBの長友選手、CFの大迫選手、CBの吉田選手、ボランチの柴崎選手あたりでしょうか。
CBについては、少し年齢が行っても問題がないポジションであるし、相棒にワールドクラスに駆け上がっている富安選手がいるので、まだまだ吉田選手のままでいいでしょう。
実際、プレーに問題はなく、キャプテンでもあるし、その経験値が必要とされていますしね。
問題は、残りの三人です。
今回バックパスでやらかした柴崎選手は、おそらく守田選手か五輪世代の田中碧選手に入れ替わると思います。
長友選手は……体力的には充分なんですが、やはり全盛期に比べるとクロスなどの精度が落ちているんですよね。
ただこのポジションに長友選手を追い越すような選手が出てきてない。
右サイドバックなら、富安選手をここにもってきてCBに板倉選手を起用するという手もあるんですがね。
そして、一番の問題はセンターフォワードの大迫選手です。
なんで、彼が問題であるのかというと、今の代表チームは、大迫選手の存在ありきでシステムを作っているからです。

点を獲れるストライカーがいないのが日本代表のいつもの悩みです。
一方で、優秀なMFはたくさんいる。
この優秀なMFを生かすために、4-2-3-1のシステムして、キープ力がある大迫選手を楔として使い、二列目三列目からMFやSBが攻め上がるというのが、日本が生み出した日本らしい戦い方です。
このやり方は確かに理に適っています。実際にこれでしばらくはそれなりに強かったですものね。

ただ大迫選手がピークアウトしてしまった。
つまり以前ほど楔役が出来なくなり、決定力もなくなってしまった。
大迫選手が楔になることが前提だったのに、これではシステムが成り立たず中盤がグダグダになってしまいます。
そして問題は、このチームにはこのパターンしかなく、大迫選手と心中しようとしているところです。

話を98年の予選に戻しましょう。あの時も、絶対的なエースが三浦選手であり、三浦選手を中心にチームが作られていました。
三浦選手が調子よければ問題ないです。
でも、問題は三浦選手が思うようなパフォーマンスが出来なくなった時です。
あのときも、加茂監督は絶対的なエースであった三浦選手を変えられずにいました。
その結果、予選で苦戦し、加茂監督は更迭。代わりにヘッドコーチだった岡田監督がしたのは、世代交代です。
象徴的だったのは、ジョホールバルの奇跡と呼ばれる日本が初めてW杯の切符を手に入れたイラン戦です。
野人岡野のVゴールばかりが印象に残っていますが、ライブであの試合を見ていた日本人が一番驚いたのは、ビハインドで迎えた三浦選手の交代だと思います。
このような大事な局面でエースを変えることなどかつてはありえませんでした。
でも、岡田監督は決断しました。
そして三浦選手に変わって入った城選手がゴールを決めます。
さらに試合を通じて躍動していた中田選手がこの試合を境に日本代表の顔になっていきます。

W杯のメンバー選考で三浦選手の落選に対し、多くのサッカーファンは怒りました。
わたしもその一人でした。
でも、それからの日本代表の歴史を考えれば、確かに岡田監督が世代交代の決断をし、チームの顔を中田選手に決めたというのは正しかったのだと思います。

森保監督が果して大迫選手をどう扱うか。
今後のポイントは間違いなくここです。
現在の日本代表に大迫選手以上に4-2-3ー1のシステムでの楔役をうまくやれる人はいません。
となると、戦術を変える、もしくはオプションを増やして試合中に柔軟に変えられるようにしなければいけません。
伝統的な4-2-2-2で2トップにした方が、システム的に合うFWは多いでしょう。
または森保監督が広島時代にやっていた3-4-2-1のシステムにしてシャドーストライカーを2枚にし、大迫選手の負担を減らすか。

相手も日本を非常に研究しているので、今のままでは同じような試合を繰り返すことは必須です。
今いる選手が最も輝けるやり方を模索し、愚直に同じことを繰り返すのではなく、積極的に何かを変えて行ってほしいですね。手遅れになる前に。