立憲民主党議席減に見る、国民が野党第一党に期待していること

立憲民主党はなぜ若者の支持を得られなかったのか?

衆議院議員選挙から一週間が経ちましたね。次の政治の話題は選挙前よりも議席数を減らした立憲民主党の党首が誰になるかという点です。
自民党の議席が思ったほど減らずに、逆に議席数を伸ばすと思われていた立憲民主党の議席減は結構な衝撃を与えましたからね……。
取り上げた記事では、なぜ立憲民主党が支持を得られなかったのかを分析しています。

端的にいうと、
・リベラルな若者に応える政策を訴えるつもりが、実際多くの若者が成長と分配を求めているのに対し、ネット左翼の言論に圧されて分配にばかりに目が行ってしまった。
・その結果、若者ではなく団塊世代のリベラル層の意見に応える政策になってしまった。
・そこに共産党との閣外協力が発表され、党としては中道左派を期待されているのに、極左であるイメージを持たれてしまった。

といったところでしょうか。

そうですね。
概ね正しいと思います。
ポイントはやはりネット上での左派の言論をイコール世論だと読み違えてしまったことにありますね。

確かにツイッターやヤフーコメントなどを見ると右も左も極端な意見であふれています。ここにアルゴリズムが加われば、個々人もその人の意見に沿った意見ばかりを目にすることになるので、立憲民主党の執行部が世論は左にかなり傾いていると思い込んでしまったのもわからないではありません。
もはやネット上の意見の多くは、中道でバランス取ろうという人よりも、極端な意見の人がアクティブユーザーとなって何度も投稿した結果が反映されているものだということを認識した方がよいでしょう。

今回の選挙結果は立憲民主党にとっては厳しものとなってしまいましたが、逆にこの結果を活かせば今後党としてどうしていくべきなのかが明確になったとは思います。
国民の多くは自民党が強くなり過ぎたことで、政治の腐敗を招いたことに関していいと思っていません。
出来ることならば、政権交代が出来る政党が二つ以上あり、それが入れ替わることによって政治家に緊張を持って働いてもらうべきだとも思っているのですが、いかんせん、立憲民主党に対してその信頼がない。

その理由は、民主党政権下における停滞にほからならいのですが、ただあのときは東日本大震災という不運もありました。
しかし今回は自民党政権下でのコロナ禍……。
立憲民主党としては、汚名挽回の大チャンスだったのですが、明らかにチャンスを生かしきれませんでした。
ポイントは、ひとえに「批判」しかやっていないというイメージを持たれたこと。
もちろん、独自の政策案などは作っていたのですが、それが全然国民には伝わらず、ただ批判だけしているという印象だけが目立ってしまったようです。
とにかく、政権を叩くことで政権のダメさ加減を強調しようと考えたのでしょうが、ちょっとやり過ぎていましたね。
左翼界隈の人にとっては「イケイケ」となり、とにかく自民を叩け!とネット上でも盛り上がっていましたが、国民の大部分は実際はもっと冷静で、批判するべきことはもちろん批判するべきだけれど、そればかりではなく、協力するべきところは協力するべきだと考えていたようです。

確かにコロナ禍のような国民全体で乗り切れらなければいけない状況の場合は、そうした大人の態度を取った方が実際、国民にとっての全体的な印象はよかったでしょう。
今は、出し抜き合うことよりも、異なる意見の相手といかに対話が出来るか、ということが評価される時代になっていますからね。

このことに気づけなかったのは、ひとえに立憲民主党の執行部のメンツがここ何年ほとんど変わっていないことに明らかに原因があると思います。
そりゃ、同じメンツが権力を持ち続けて、若手が語りにくい組織では、時代の変化を見極めにくくなりますし、対話力も磨かれません。
権力を握ることで腐敗していると自民党の政治家を批判しても、説得力を持ちませんよね。
しかもまだ自民党の方が若手を登用しているように見えるのは皮肉でしかありません。

まず立憲民主党には対話が出来る政党になってほしいです。
自民党と意見が違うというのはいいです。
でも、違うからと言って、一方的に自らの正義だけをふりかざすのでは、数々の都合のいい法律を強硬に決めて行った自民党の政治家と何ら変わらなくなってしまいます。
若手、女性など色々な人にチャンスを与えて、組織そのものの風通しを良くし、意見交換や対話をしやすくする。
そうやって政治家を育てることで、党としても国民の意見をよく聞き、それをどう実行できるのかを考える組織になってほしいです。
そうすれば、批判ばかりで悪目立ちするよりも、地味でもずっと支持は広がるでしょうし、信頼も回復していくと思います。

正義よりも、対話を。
自民党だけでは、いずれまたいらぬ誰がが権力を持って衆愚政治になる可能性があります。
強い野党、特に自民党の補完勢力ではなく、意見を異にする強い野党は絶対に必要なので、立憲民主党にはこれから頑張ってほしいですね。