オリラジ中田さんの「良い夫をやめる」に思う、夫と妻が一緒に家事育児をするために一番大事なことつ

中田敦彦 方針変更!「良い夫」やめました夫の平均化を目指すことがその家族にとってベストパフォーマンスなのか? 「離婚してもいい」という立ち位置で夫婦関係を見直し中

オリラジ中田敦彦「妻と別れていい。親権は渡していい」に東大卒ママが怒りをあらわにする理由

オリエンタルラジオの中田敦彦さんの記事が物議を醸しだしています。
タレントの福田萌さんと結婚した中田さんは、活躍の場をテレビからYouTubeなどに移し、昨年にはシンガポールに移住もして、公私ともに順風満帆なのだと勝手に思っていましたが、夫婦仲について、ていうか家族の役割分担について、うまくいっていないそうです。

中田さんの記事を平たく言うと、ようするに自分は結婚をして子どもが生まれてきてからはワークライフバランスをとることに全力を尽くしてきたと。
突発の仕事が入らないように、仕事の軸足を変え、妻である福田さんが要求されるがままに、子育てや家事にも全力を尽くしてきた。
でも、福田さんは、それでも納得がいかず、中田さんは、福田さんから「あなたは全然変わっていない」と言われ、カウンセリングを受けるように勧められたそうです。
そして、カウンセリングを受けた結果わかったことは、自分が自分で思っている以上に、家族に合わせていたことにストレスとを感じていたということ。
それに、妻の福田さんの意見に合わせ過ぎた故に、福田さんの要求が助長し、それに対して自分がついていけなくなっているということ、だそうです。
中田さんはそれを踏まえて、離婚覚悟でもう家族に合わせることを止め、自分もある程度自由にやることで、家族との関係を再構築したいとネットの記事で語っています。

これに対して、案の定というか、主に女性のライターから色々と物言いが出てます。
こちらは、ようするに中田さんが言っていることが勝手すぎるという話です。
自分はこれだけやったのに!と言う中田さんに対する反論です。
妻の立場からすると、妻はもっと色々なことに我慢しているのに、その程度のことで何を言っているのか、という話だということです。

どちら側の話にも、当人の立場からすれば、一理あることは言っていると思います。
ただこの手の話で問題なのは、結局は家事や育児という負担をどちらが担うのかという、「仕事」の分担の話にまとめられている点なのではないかと思います。

おれがこれだけやっているのに!とか、嫌々妻の方が……という「仕事の分担」を軸にした話し合いだと、いつまでも水掛け論となってしまい、結局はどちらかが我慢を強いられ、夫婦関係はギクシャクするだけだと思うんですよね。

中田さんの話を改めて考えてみると、わたしも男性でワークライフバランスを考えている身からすれば、彼の不満はわからなくはないです。
一生懸命働いて、そのうえに家事も出来る限り頑張っているのに、「あなたは何も変わっていない」というのは何事かと。
自分なりにした努力をまったく認められないっていうのは、やはりちょっと悲しいものです。
福田さんが本当にそのようなことを言ったのかどうかは定かではありませんが、仮に中田さんの言う通りなら、確かに言い方はあったのかもしれません。

ただ個人的に同じような立場のわたしが思うのは、中田さんは、福田さんの言う「あなたは何も変わっていない」という言葉の意味を理解していないような気もします。
確かに、家族のために、仕事のやり方そのものを変えるということなんて簡単に出来ません。
それでいて、わたしが想像もできないようなお金を稼いでいる中田さんはすごいとは思います。
でも、中田さんの話から察するに、仕事の軸足を変えることについても、普段の家事や育児に関わり方についても、合わせていると言いながらも、そこに福田さんとの会話がある訳ではなく、自分自身の考えに従って行動しているだけなんですよね。
今回、「離婚覚悟で、やり方を変える」と言っているのも、福田さんと分かり合ったうえでやったというよりは、自分が思った主張を行動しているだけです。
たぶん、問題はここなんじゃないかと思います。
頭がいい人、頭がいいと思っている人が、陥りがちなんですけれど、自分の頭で導き出した解だけが正しいと思ってしまって、突っ走ってしまうんですよね。
しかも妻からの意見は、自分ほど考えていないんだからわかっていないんでしょ、と思ってしまう。
福田さんは、おそらく中田さんの「仕事」や「家事・育児」のやり方が変わっていないと言っているんじゃないんですよ。
そこに臨むまでのスタンス、あくまで話し合わずに自分の頭だけでどんどんと進めてしまうことに対して、「あなたは変わっていない」と言っているんです。
ようするに、福田さん、というか大部分の女性は、ちゃんと話し合って、そのうえでお互い納得の上で、生活をしたいと願っているだけなんですよね。

ちゃんと話し合って、例えばどうしてもストレスが溜まったから、「この時間は自転車に乗ってもいい?」と切り出せば、妻としても「この時間はやめてほしいけど、この時間なら自分が時間を作ってあげられる」とか言いようがあると思います。
そうした会話のプロセスを経てお互い納得した上でなら、自転車に乗ってきても、大抵の妻は文句を言わないと思うし、むしろいつもストレスをかけているんだと理解もしてくれるはずです。
それは妻と夫、逆もまた然りです。
それを、「ワークライフバランスを考えたから、自転車はもう止める」と一方的に宣言されてしまったら、取り付く島もないし、結局は「お前のために、オレはこれだけしてやってんだぞ」というハラスメントにもなってしまう。
せっかく家族のためにやろうとしていることでも、コミュニケーションのやり方の問題でハラスメントになってしまうのはちょっともったいない話ですよね。
自分がそうは思っていなくても、相手が感じてしまう限りでハラスメントは起こってしまうものなんです。

人間は、どうしても自分はこんなに頑張っているのに、と思ってしまう生き物です。
それは独りよがりといわれてもしょうがないのですが、ただ人間は、言葉を使ってうまくコミュニケーションをとることによって、それを打破出来る生き物でもあります。
自分の頭だけで考えて、「これこれはこうだから、こうする」とか、「これがダメだったから、こうする」ということばかりを押し付けていたら、人間関係はいずれ壊れてしまうでしょう。

これは仕事なのでも同じですが、「負担の分担」をいかに平等にするか、というゴールを達成するだけを目指して物事を決めてしまっては、それはそれで失う物も多いです。
なるべく平等にすることは大事ですが、それ以上に、そこに至るまでのコミュニケーションのプロセスこそが最も大事なことです。
何事も自分ひとりの力でやれる人は、意外とそのあたりがわからないことがあります。
自分の考えていることが結果を出しているから正しいのは、自分にとって正しいだけだということを、他の意見を聞けば、自分だけでなく、他の人も幸せに出来るかもしれないということを、頭のいい人たちは、頭がいい人だからこそ、わかってほしいですね。