「宮部みゆき責任編集 松本清張傑作短編コレクション 中」 著 松本清張

「宮部みゆき責任編集 松本清張傑作短編コレクション 中」 
著 松本清張

宮部みゆきさんの選ぶ松本清張傑作短編コレクションの第二弾ですね。
収録されているのは以下の作品です。

「遠くからの声」
「巻頭句の女」
「書道教授」
「式場の微笑」
「共犯者」
「カルネアデスの舟板」
「空白の意匠」
「山」

傑作と銘打っているだけあって、外れはないです。
やはり松本清張はすごいですね。
続けていくつかの作品を読んでいて思ったのは、犯人もしくはそれに準ずる悪い奴の視点で物語が語られているというのが多い点。
通常推理小説やミステリーの場合、探偵とか刑事とか、いわゆる正義の側に立つ者の視点で語られることが多いのですが、清張さんの短編の場合、悪い奴がどう悪巧みをするのかという話が多いんですよね。
たぶん、そっちの方が短編としてまとめやすいという理由もあると思いますが、これはひとえに悪い奴には、悪い奴なりの理由があり、清張さんはそこを描きたい人なのかなと思いました。
この辺りの視点の持ち方が、松本清張が社会派として名を馳せた所以ですね。

収録作品はどの作品も面白かったのですが、個人的に目を引いたのが「空白の意匠」。
ミステリーというより、会社ものの話で、地味といえば地味なんですが、これがリアリティあるんですよね。
何か、日本企業の悪い部分が集約されている作品のように思えました。