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SF小説を読む

「なめらかな世界と、その敵」 著 伴名 練

「なめらかな世界と、その敵」  著 伴名 練 今後の日本SF界を引っ張っていくであろう、伴名練さんの短編集です。 6つ作品が収められていますが、どれも面白いです。大抵短編集って、微妙なものも混じっていることが多いんですけれど、ホントにハズレが一つもなかったですね。 SF作家として非常に安定、卓越した力の持ち主何だということがこの短編集を読むだけでわかります。 ラインナップとしては、表題にもなってい […]

「華氏451度」 著 レイ・ブラッドベリ

「華氏451度」  著 レイ・ブラッドベリ SF小説の古典ですね。「火星年代記」のレイ・ブラッドベリの代表作です。 アメリカでは、国民的文学のとさえも言われている作品です。 ディストピアものとしては、オーウェルの「1984」と双璧ですね。 ヌーベルバーグの時代に、フランソワ・トリュフォーが映画化したことでも知られています。 さて、内容なんですが、いわゆる「焚書」がテーマである作品で、深いです。 本 […]

「火星の人」 著 アンディー・ウィアー

「火星の人」  著 アンディー・ウィアー 端的に言うと、火星に行った宇宙飛行士の一人が火星に取り残されてしまって、どうやって生き抜くかと言う話ですね。 文庫版の解説にもありますが、多くの人は奇しくもどちらもトム・ハンクスの主演作である「キャスト・アウェイ」と「アポロ13」を足して2で割ったような印象を受けたと思います。 典型的なサバイバルものですが、ポイントはこれがどこかの島などではなく、火星であ […]

「ビット・プレーヤー」 著 グレッグ・イーガン

「ビット・プレーヤー」 著 グレッグ・イーガン 現代ハードSFを代表するグレッグ・イーガンの短編集です。 さすがに気鋭の作品だけあって、短編や中編にもかかわらず、どれも読みごたえがありますね。 グレッグ・イーガンと言えば、理系脳がなければなかなか読みづらいという話はよくあります。 でも、いいんです。理屈は理屈として、わからないところは置いたまま、読み進めても。 グレッグ・イーガンはそのSF的な科学 […]

「犬は勘定に入れません あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎」 著 コニー・ウィルス

「犬は勘定に入れません あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎」 著 コニー・ウィルス 大好きなコニー・ウィルスの航時歴史家シリーズですね。 シリーズの順番で言うと、「ドゥームズデイ・ブック」に続く二番目の話です。 本作の舞台は主に19世紀中頃の英国ヴィクトリア朝時代。 そこに1940年の第二次世界大戦中の話が絡んできます。 シリーズの他の話である、「ドゥームズデイ・ブック」や「ブラックアウト/オ […]

「あなたの人生の物語」 著 テッド・チャン

「あなたの人生の物語」  著 テッド・チャン 中短編の名手と謳われるテッド・チャンさんの短編集ですね。 寡作ではあるものの、そのすべての作品においてレベルが高く、ほとんどの作品がネビュラ賞やヒューゴー賞の受賞もしくは候補作となっているだけあって、確かにハズレが一つもないです。 典型的な理系の人の文章なので、人によっては読みにくさを感じる人がいるかもしれませんが、その分充分な科学的知識に基づいて話が […]

「零號琴」 著 飛浩隆

「零號琴」  著 飛浩隆 現在の日本SF界のトップランナーである飛浩隆さんの長編ですね。 寡作ながらも本を出すたびに批評家すらも驚かせる飛さんの作品ですが、いやあ、今回も驚かされました。 飛さんの作品は、細かい理系用語が飛び交うわけでもなく、また現在社会の諸問題を露骨にテーマにしているわけでもなく、その代わりに圧倒的な想像力があるんですよね。 しかも本作は、その飛さんが飛さんたることを証明している […]

「連環宇宙」 著 ロバート・チャールズ・ウィルスン

「連環宇宙」  著 ロバート・チャールズ・ウィルスン スッキリしました。 「時間封鎖」シリーズ三部作の最後の話ですが、二部の「無限記憶」でやや消化不良であった部分が本作ではキッチリと解決されていて最後はSF小説の定番であるセンスオブワンダー的な描き方で大きなカタルシスを得ることも出来ました。 そして何より本作を読み進めていくうちに作者の意図というか、何を描きたくてこのシリーズを描いたのかというテー […]

「無限記憶」 著 ロバート・チャールズ・ウィルスン

「無限記憶」 著 ロバート・チャールズ・ウィルスン 評価の難しい話でした。 ヒューゴー賞に輝いた「時間封鎖」の続編ですが、続編として「時間封鎖」でわからなかった事実を解き明かしていくという意味では非常に興味深い話でした。 ただこの作品が三部作の真ん中であるがゆえに、まだまだ解き明かされない謎があるという感じで話が終わってしまうことにはどうしても消化不良感が拭えず、また話の構成としてもアイザックを通 […]

「時間封鎖」 著 ロバート・チャールズ・ウィルソン

「時間封鎖」  著 ロバート・チャールズ・ウィルソン わたしがSF小説のコアなファンになったキッカケを作った作品ですね。 この本を読んでその世界観に惹かれ、もっとこうした体験をしたいと思ったのでした。 SF小説として、わたしがこの本が優れていると思うのは、スピン膜に覆われることで星が見えなくなり、地球とその外との時間の経過が変わってくる、つまり地球上での数日が地球外では数万年経つという時間封鎖とい […]