「アラバスター」 著 手塚治虫

手塚治虫大先生の隠れた名著ですね。 「差別」というテーマをここまで露骨に取り上げている作品も非常に珍しいと思います。 まず設定として、黒人の人気オリンピックだった主人公が白人の女性に振られた挙句犯罪者となり、その復讐のために透明人間になろうとするというのがすごいですね。 しかも失敗して、皮膚が透けて見えるグロテスクな見た目になってしまうという、この設定だけで手塚先生のすごみがわかります。 表題のア […]

「三億円事件奇譚 モンタージュ SINCE 1968.12.10」 著 渡辺潤

未だ解決されていない三億円事件をモチーフにした作品ですね。 三億円事件を扱っているというだけで非常に興味深い話ですが、よくぞここまで話を広げたなとその想像力に驚きました。 話も実際に事件が起きた東京・府中をはじめ、長崎の軍艦島や沖縄、北海道と日本各地に飛ぶのでとても楽しむことが出来ましたね。 本当にあった事件をネタにしているだけに、話に現実感があって、食い入るように一気に読み進めることが出来ました […]

「ジブリの文学」 著 鈴木敏夫

スタジオジブリの名プロデューサーである鈴木敏夫さんのドキュメントエッセイ集です。 ジブリといえば、どうしても宮﨑駿監督と高畑勲監督の二人の存在が大きいのですが、この本を読むと改めて鈴木さんがいなければ、ジブリがなかったといっても過言ではないことがわかります。 そもそも宮﨑監督との最初のエピソードからしてすごいですね。 アニメージュの編集者として、宮﨑監督の密着した鈴木さんでしたが、商業主義的なアニ […]

「藤村多希 ――明治を生きた産婆――」 著 渡辺せつ子

「藤村多希 ――明治を生きた産婆――」  著 渡辺せつ子 まったく無名の人なんですが、それだけに興味深い話でした。 あまりに資料がないために、小説という形をとっていますが、実在の人の生き様を詳しく描いてくれているので、いわゆる偉人の話よりもある意味でこの時代の空気感のようなものがよく伝わってきます。 産婆という職業にスポットを当てていることにも惹かれますね。 確かに産婆は昔からある職業です。 経験 […]

「妾と愛人のフェミニズム 近・現代の一夫一婦の裏面史」 著 石島亜由美

「妾と愛人のフェミニズム 近・現代の一夫一婦の裏面史」  著 石島亜由美 妾や愛人の社会的イメージが明治、大正、昭和、平成と時代が変わる中でどう変遷していったのかを、新聞、雑誌、文学作品などを通して解き明かしていく作品です。 まず驚いたのは、明治の初期の話。 このとき、本の数年の間ですが、妾が法的に認められ、妻と同等の立ち位置にあった時期があったんですね。 皇室が男系継承であることへの整合性であっ […]

「利通暗殺 凶刃に斃れた日本リーダー”」 著 遠矢浩規

「利通暗殺 凶刃に斃れた日本リーダー”」  著 遠矢浩規 明治維新の立役者であり、維新後の明治政府を引っ張った大久保利通が暗殺された紀尾井町事件を克明に描いた本です。 もはや日本史に詳しい人にしか知らない事件で、歴史に埋もれてしまっていると言っても過言でないのですが、個人的には、大久保利通がここで亡くなったことは、その後の日本史にとっての分水嶺になったと考えているので、非常に興味深く読むことが出来 […]

「福地桜痴」 著 山田俊治

福地源一郎とも呼ばれ、幕末から明治にかけて活躍した人物ですが、なかなか一言で語るには難しい人物の話です。 幕末は外国方幕臣として通訳として活躍していました。 遣欧使節の一行に選ばれて活躍していますね。 維新後は、大蔵省に入ったこともありましたが、のちに東京日日新聞に入社してジャーナリストとして活躍します。 記者として西南戦争に赴き、最初に現地に行って戦争を報道をした人として有名ですね。 その後は記 […]

2024 プロ野球ドラフト会議答え合わせ

ドラフト会議終わりましたね。 さて、さっそくですが、一週間前にした予想の答え合わせを。 〈パ・リーグ〉 ソフトバンク 金丸夢斗(投手 関西大) ⇒ 宗山✕ 柴田✕ 村上 日本ハム 宗山塁(内野手 明治大) ⇒ 宗山✕ 柴田 ロッテ 金丸夢斗(投手 関西大) ⇒ 西川  オリックス 西川史礁(外野手 青学大) ⇒ 西川✕ 麦田 楽天 西川史礁(外野手 青学大) ⇒ 宗山 西武 宗山塁(内野手 明治大 […]

2024 プロ野球ドラフト会議予想

さてドラフト一週間前になりました。 今年も自己満足でやっている12球団の一位指名予想をしたいと思います。 今年の目玉は何と言っても、関西大学の投手、金丸君と明治大学の遊撃手の宗山君ですね。 この二人と加えて青学大の外野手の西川君と愛工大の投手、中村君の大学生四人がビック4ですね。 現時点で公表しているのは、広島の宗山君だけすが、まずは予想から。 〈パ・リーグ〉 ソフトバンク 金丸夢斗(投手 関西大 […]

「栗本鋤雲」 著 小野寺龍太

「栗本鋤雲」  著 小野寺龍太 幕末期に江戸幕府の幕臣として活躍した人ですね。 この人とかが、歴史好き、特に幕末好きという人にもなかなか名前を覚えてもらえないあたりに、いかに勝てば官軍と言うか勝った側の人物ばかりが歴史に名を残しているというのがよく分かります。 簡単に説明すると、この人、元々は奥医師なんですけれど、函館に異動になり、その先で史籍となって北海道開拓に尽力した人です。 樺太や今は北方領 […]