寄付税制とは?⑤ ~日本版プランド・ギビング信託~

プランド・ギビングとは、そのまま訳すと、「Planned Giving = 計画的寄付」という意味になります。つまり、「計画的に信託という手段を使って寄付を行う」というのが、ブランド・ギビング信託ということになりますね。

元々寄付文化が根付いているアメリカの制度なのですが、平成23年度の税制改正で、特定寄付信託の利子所得の非課税措置が創設され、日本版のプランド・ギビング信託が始まりました。

具体的には、以下のような仕組みになります。

1)個人がお金を信託の形で信託銀行に預ける。
2)個人は信託銀行が指定する公益増進法人、認定NPO法人等から寄付したい団体を選び、毎年一定の割合ずつのお金を寄付する。 
3)寄付を受けた団体は、信託銀行を通じて、寄付者である個人に対して活動実績を報告する。
4)その結果、寄付者である個人は、寄付先を変えることも出来る。
5)老後の生活に不安を抱く人のため、信託をした元本の30%を上限に年金のような形で毎年一定の割合ずつ受け取ることが出来る。
6)契約期間中に死亡した場合は、残りはすべて指定していた寄付先に寄付する必要がある。

信託銀行は信託された金銭を運用して、運用収益を上げることとなります。通常の投資信託であれば、この運用収益には、原則として20%の源泉徴収がされて課税されますが、この日本版プランド・ギビング信託において生じた運用収益には非課税措置が設けられており、全額指定された寄付先に渡ることになります。

アメリカでは、1969年にこのプランド・ギビング信託が出来るようになってから、これが寄付市場を広げる上で大きな原動力になってきました。果たして今後この制度が日本にも寄付文化を根付かせることが出来るのか。使い切れないくらいたくさんのお金を持っている人のための制度ではありますが、寄付市場に対するその影響には注目していきたいですね。