NPO・社会的事業をどう評価するのか?②  ~事業評価について・社会的インパクト評価(1)~

非営利活動法人の事業評価には様々なものがありますが、今、最も注目を集めているのが「社会的インパクト評価」です。今回はこの「社会的インパクト評価」のさわりの部分を説明したいと思います。

「社会的インパクト評価」とは、一言で言うと、非営利活動法人が生み出している「社会的インパクト」を可視化し、それに評価を加えることです。

評価の目的としては、

・事業や活動の利害関係者への説明責任(アカウンタビリティ)
・学習と改善

が挙げられますが、もっと言えば、「社会的インパクト」を評価することで、その団体の信頼性を高め、そして人材、資金などの資源を呼び込こんで、運営環境を整えていきたいというわけですね。そうすれば、NPOなどの活動が活発になり、社会的課題の解決に少しでも近づくはずだというわけです。

そう考えると、この「社会的インパクト評価」を広めていくということがとても大事になってくるのですが、実はすでに日本政府もこのことに気づき、動き始めています。

実際、2016年6月に発表された「経済財政運営と改革の基本方針2016(骨太方針)」には、「社会的インパクト評価の推進」が明記されていますし、2015年には、内閣府の「共助社会づくり懇談会」の下に社会的インパクト評価検討ワーキング・グループが設置され、2016年3月には、基本概念の整理や対応策等をまとめた報告書が公表されているんですよね。

もはや政府も推し進める「社会的インパクト評価」ですが、では、具体的には何をどう評価するのでしょうか? 

まず社会的インパクト評価の一般的な二つの特徴を挙げたいと思います。

①「アウトプット(結果)」にとどまらず、その先の「アウトカム(成果)」を評価する。
②「ロジックモデル」を活用し、アウトカムに至る論理的根拠を明らかにする。

ようするに、「イベントを行いどれだけの人数を動員したか」や「どれだけの収益を上げたか」など目に見えるものだけを評価するのではなく、活動そのものによって、「受益者や社会がどう変わったか」を評価するべきだということです。

それで、その評価のために必要な手法が「ロジックモデル」だというわけですね。
 
「ロジックモデル」とは、事業が成果を上げるために必要な要素を体系的に図示化したもので、事業の設計図に例えられます。
つまり「事業の目的」や「事業が影響を及ぼす受益者」を明確にした上で、そこから逆算して「アウトカム(成果)」、「アウトプット(結果)」、「活動」、「インプット(資源)」の因果関係の結びつきを可視化することで、「アウトカム(成果)」に至る論理的な根拠を明らかにしていくという流れを図示化したものですね。

「何となく良いことをしている」という感覚を、他の人にも分かってもらうために、頑張って理屈をつけていく、という感じですかね(笑)。

次回はもう少し踏み込んだ評価方法を説明したいと思います。