「男らしさの終焉」
著 グレイソン・ペリー
ジェンダーの話と言えば、大抵は女性の人が何かを書いていることが多いのですが、この本が特徴的で重要なのが男性が男らしさに対して一石を投じているという点です。作者のグレイソン・ペリーはイギリスでは有名なアーチストで、確かに女装が趣味である点などいわゆる一般的な男性像とはいいにくい部分はあるものの、男性の在り方に大して疑問に思っているん点はおおむね正しいことを言っていると思います。
まあ、そもそもジェンダーの問題はどうしても被害に遭いやすい女性が声を上げることが多いのですが、普通に考えれば、圧力を加えている方は明らかに男性であって、むしろ男性の問題であることは間違いなんですよね。
男性の場合、気づいていない場合も多いのですが、いわゆる男らしさ(泣いてはいけない、強くなくてはいけない、甲斐性がなくてはいけないなど)を見えない社会の圧力によって強要されていること自体もジェンダーの問題であって、そうしたマッチョな考えが世の中の仕組みをつくり、格差や支配を生んでいることは間違いないんですよね。
本の中でも触れられていますが、男性が男性としてのマッチョな鎧を脱ぎ捨てることで、絶対に世の中はよくなるんですよね。
ただ問題は、男性がその事実を受け入れがたいと思っている、それ以前にそうした事実を知りもせずに、子どもは女性が見るのが当たり前だとか、女性の方が年収が多いのは生意気だとか、女性に何か言われたくないなどと無意識に思っていること自体が問題なんです。
男性を決して攻撃してるのではなく、男性もそうしたジェンダーの問題を自分たちの問題と捉えた方が、結果的に荷が軽くなるという話なんですよね。
世の男の人たちがこうした本を読む、そしてそれぞれの問題について声を上げる。そんな世の中になれば、素敵です。
ついついどうしても、そんな希望を抱いてしまいます。