障害者や性経験のない人たちを救う「セックス代理人療法」を知っていますか?i
これは深く考えさせられる話でした。
「セックス代理人療法」、つまり、何らかの理由でパートナーと親密な関係が結べない人たちに、カップルとしての親密な関係の築き方や、性交渉の仕方を教えるという療法です。
これって、世界中で実はものすごくニーズがある話ですよね。
程度の差こそあれ、他人と上手く関係が結ぶことが出来ない人は正直、そこら中にいますね。
でも、そんな彼らの大半は声を上げない。
それはもちろん、恥ずかしいからでもあり、プライドが許さないからでもあります。
でも黙っていても、もちろん何がどう変わる訳もなく、ただ時間だけが過ぎていき、彼らはそのうちに他人との関わりなどどうでもいいとうそぶくか、ルサンチマンとなって暴力に走るか、とにかくおかしな方向に感情が歪むことが多いでしょう。
そうした人々のニーズに応えるべく、この「セックス代理人療法」というのがあるそうなのですが、個人的にはこれは確かに必要なものだと思います。
こうしたものがないから、特に男性の場合は、ポルノに傾倒していき、そこから間違った知識を吸収して、余計に自分をドツボにハマらせていってしまうんですね。
まあ、普通に考えれば、こうしたニーズは大昔からあったはずです。それがなぜ未だに当たり前のように語られないのかは、歴史的にこうした話は表に出づらく、また特に男性においては関係をキチンと築くのではなく、力づくでどうにかすることで誤魔化してきたからだと思います。
レイプなどはわかりやすいですね。
それに、一般的には関係が築けない=そうしたいわゆる犯罪を思い浮かべるかもしれませんが、ここでいう「力づく」とはそれだけではありません。
経済的、身体的に優位に立つことやその関係性において、性を強要することはもちろんですし、合法的に性風俗店などにいくことなどもそうです。
つまり、相手を尊重し、相手と関係をキチンと築いた上で、「性」があるのだということがわかっていない人は、基本的に「ちゃんと関係が築けない人」ということになります。
こうした療法を受けることはないとは思いますが、本当は結婚していても、DVをふるう人や、言葉の暴力を振るう人などもそもそもこうした療法が必要な人だったんですよね。
「セックス代理人療法」では様々な理由で他人と関係を築けない人たちになぜそうなのかを探るべくアプローチしていくそうです。あくまで双方の合意が必要であり、個人情報の類のことなどを明かさないということが徹底されているのも、ちゃんとしていると思います。
もちろん重度の障害があり、どうにもならない人もいるば、医学的な問題であることがわかる人、大きなトラウマが原因だと気づきそれを乗り越えるキッカケになる人と、治療を受ける人には様々なケースがあります。
大切なことは、治療を受ける側も治療をする側も真剣であり、欲望を満たすためではないということですね。
ちょっとの自信で人間大きく変わることはあります。でもそのちょっとがわからない。わからないから目を背け、簡単に手に届くポルノで欲求を解消し、人間関係なんて希薄で十分だと勝手に思い込んでしまう。
確かに濃密な人間関係が唯一の正解ではありません。でも、色々やってそう考え至るのと、やり方がわからず、そのうちに諦めてそう言うのでは、まるで違うのです。
セックス代理人療法は、セックスを欲望の象徴だと考える人からみれば、とんでもない話に映るかもしれません。
でもセックスってコミュニケーションの手段でもあるんですよね。
普段こうした教育がなかなか広がらない中で、こうした試みを考える人が出てくるのは、社会が成熟していく上で当然なことだと思います。
さすがに日本ではこうした療法を実際にやっているという話はまだ聞きませんが、潜在的に人間関係を築くことが苦手な人が多く、それに比例するようにポルノが当たり前に蔓延する日本でこそ、広がるべき療法だと思いますね。
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