ファーストガンダムでガンキャノンに乗っていたカイ・シデンに焦点を当てた話ですね。
一年戦争後にジャーナリストとして活躍をしているカイを描いています。
時期としては、ちょうど「Ζガンダム」の頃の話で、「Zガンダム」のスピンオフ作品となっております。
地味にコアなガンダムファンには人気があった作品で、マニアには「Zガンダム」の隙間がこれでもかというほど細かく巧みに描かれている話ですね。
圧巻なのは、ガンダムの話でありながら、モビルスーツ同士の戦闘シーンはほとんどなく、毎回カイとゲストとの会話だけで話が進んでいくというスタイルです。
ガンダムというバックグラウンドがあるだけに成り立つやり方ですが、それにしても数少ない人数の会話だけでほぼほぼ短い話を作っているのは、すごいと思うし、相当の苦労が伝わってきます。ていうか、作者のガンダム愛がすさまじく伝わってくるんですよね。
毎回代わる代わる出てくるゲストには、本編ではほとんどセリフ脇役であった人も多いのですが、そうした人に対してもその人の背景を徹底的に作り込んでます。
そうした作者の姿勢がそれぞれのセリフに特徴と重みを持たせ、一話一話が短かくても、アクションが少なくても、内容のある話になっているんですよね。
確かにガンダムをほとんど見たことがない人にとっては、世界観を理解し切れずになかなか乗り切れない漫画であるとは思います。
でも、漫画にしろ、映画にしろ、広く一般大衆に受けるものだけが正しいわけじゃないんです。
こうやって大きなストーリーを補完するという意味で、コアなファンに向けて作品を作るというのは全然ありですよね。
実際、この作品はガンダムファンにとっては、たまらないエピソードの連発でした。
個人的にも、何で「Ζガンダム」でアムロがガンダムタイプではなく、ジオンっぽいフォルムのディジェに乗ったのかとか、クワトロ大尉が何でいきなりシンタとクムを拾ってきたかなど、長年疑問に思っていたことがしっかりと描かれていたのでかなり楽しめましたね。
特にシンタとクムの登場の理由については読んでいて、そうきたか！と唸りました。
ガンダムが好きな人で未読の人にはぜひ手にとって読んでみて欲しいですね。
字が多くても食い入るように読んでしまうこと間違いなしです。
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