「偏見や差別はなぜ起こる? 心理メカニズムの解明と現象の分析
編 北村英哉・唐沢穣
偏見や差別がなぜ起こるかについて、心理学から徹底的にアプローチをされた本です。
第一部では、偏見・差別の仕組みについて書かれており、そもそも偏見・差別とは何なのかについて、理論的に読み解かれています。
ステレオタイプの作り方などは、非常に勉強になりましたし、偏見・差別がいかに政治やイデオロギーとも密接であるかが丹念に語られていました。
第二部では偏見・差別について具体的に各項目に分けてその実態と解析がなされています。
章立てされているのは、人権・民族/移民/障害/ジェンダー/セクシャリティ/リスク・原発/高齢者/犯罪です。
どの問題も当事者にならないとなかなか感じることが出来ない問題なのですが、それじゃダメで、社会に生きている以上、ちゃんと考えていかなくちゃいけない問題であるのだということはわかりますね。
結局は、自分の問題にしたくない、考えたくない、他人事にしたいからこそ、自分の意識の外においたり、もしくは攻撃的になったりするわけで、様々な問題の中で生じる後ろめたさに、たとえ当事者じゃなくても考える、そして出来れば少しでも向き合うということが大事なのだと改めて感じました。
自分が偏見を持ったり、差別をしたりしているつもりはなくても、無意識のうちにそのような態度を取ってしまっている可能性があるんだということに、まず気づくことが大切ですね。
偏見や差別の問題については、誰もがある意味で当事者であるとは思うので、考えるキッカケとしてぜひ読んでもらいたい本です。