「裸足で逃げる 沖縄の夜の街の少女たち」
著 上間陽子
沖縄において、貧困やネグレクト、虐待などか当たり前のように存在する環境の中で、必死に最善を選んで生きている少女たちのルポです。
全部で七人の少女のルポが本作に収録されていますが、どれもが胸に迫る記録であり、悲しいとか切ないとか、それだけでは収まらない複雑な感情を引き起こす作品です。
専門家として少女たちの話を枠にはめていくのではなく、あくまで彼女たちに寄り添って彼女たちの話を聞いている著者の上間さんのスタンスに、言いようのないぐらいの優しさを感じました。
すべて読み終えたあとに、彼女たちの話を聞いてあげて、この本を書いてくれてありがとうと言いたい気持ちになります。
間違いなくこの本は、もっと広く読まれるべきだと思います。
特に男性が読むべき本です。
沖縄だけでなく、おそらく全国で、様々な理由で過酷な環境に置かれている少女は数えきれないほどいるでしょう。
自己責任の一言で片付けて後ろめたさを回避するのではなく、こうした少女たちが存在していることこそが、わたしたちの住む社会の現実であるのだとまずはみんな知るべきですね。
心がざわつく作品でしたが、色々なことを感じさせてくれた作品でした。