「証言 治安維持法 「検挙者10万人の記録」が明かす真実」
著 NHK「ETV特集」取材班
戦前、戦中にわたって国民を縛り上げ続けた悪法ですね。
この本ではなぜこの法律が出来たのか、からどのように検挙者の数が推移していいたのか、そしてなぜ検挙者数が跳ね上がったり、下がったりしたのかを詳しく説明しています。
ひと口に治安維持法といっても、その内容に変化があったり、その時代背景や検挙理由の変化などは詳しく知らなかったのでとても勉強になりました。
もともとは共産党をターゲットにした法律だったことは知っていましたが、それがどんどんとその外郭団体に広がっていき、さらには法律自体が改正されて、国体そのものに疑いの言葉を発しただけで検挙されるという話になっていったんですね。
しかもそのほとんどが検挙されるいわれのないものばかりで、本当にこんな法律の適用が横行していた時代は、国民にとっては地獄でしかありません。
しかも戦後も日本政府はこの悪法をどうにか維持しようと考えていたとか……。
アメリカが民主主義に反するとして、この法律を亡くしてくれたことに関しては、ホントに感謝しかないですね。
でも、この法律の精神は残念ながら脈々と受け継がれてしまっています。
特高の仕事の多くは公安に引き継がれ、この法律の運用をあと推ししていた官僚には戦後国会議員になった人が数多くいるそうです。
そして安倍晋三政権下での治安維持法復活の足がかりにもなりそうな共謀罪の成立…。
悪法だと分かっていてもいつの時代も個人の自由を侵害し、支配体制の構築を望む権力者が現れるのだということをわたしたちは忘れてはいけませんね。