「センチメンタル・リーディング・ダイアリー」
著 @osenti keizo lovinson
小説の書評を集めたものなのですが、それぞれに著者の経験によるエピソードが語られています。
読んでいるうちに、これが書評なのか、著者によるエッセイなのか、それともこれこそが小説なのかわからなくなっていく不思議な読み物でした。
作者の飾らない、当事者性がヒシヒシと伝わってきて、ある意味でこれほど食い入るように読める書評は初めて読んだような気がします。
取り上げられている本は多く、個人的には既読のものも未読のものもありましたが、どちらもそれはそれとして楽しむことが出来ました。
たぶんそれはネタバレを含め、本の内容そのものを書いているのではなく、著者はあくまでその本を読んでどう感じたのかということをだけを書いているからだと思います。
そこに理屈はなく、ただひたすらに自分の体験と重ね合わせることで、その本を読んだときに想起された自ら感情を吐露しているんですよね。
面白かったのは、当たり前の話だけれど、著者とは本を読んで感じたことが同じだと共感する部分と自分と違うと思う部分があったこと。
どう感じたのかが焦点であるので、そこは違って当たり前で、違うからこそ本は面白いのだということが再確認出来ました。
取り上げられた本のうち、既読だったものはもう一度、未読だった本を手に入れて読みたくなりましたね。
ちなみにこの本は千葉県の志津駅にあるときわ書房で見つけました。
そこは毎年志津ノーベル賞というのを独自にやっている本屋さんで、この本は志津ノーベル賞2024の受賞作です。
本屋さんが独自にこうした取り組みをしているのは非常に興味深いです。