弦巻 星之介
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弦巻 星之介

文筆家 CSRエキスパート 病院で働きながら、二人の小さな子どもを子育て中です。

「薩摩の密偵 桐野利秋 「人斬り半次郎」の真実」 著 桐野作人

幕末から西南戦争で活躍した薩摩の桐野利秋を掘り下げた本です。 桐野と言えば、西南戦争で事実上薩軍を指揮し、その戦略なき戦い方が批判されている人として有名ですね。 たぶんにそれは司馬遼太郎さんの「翔ぶがごとく」の影響が強いことは否めませんが、西南戦争における桐野の戦略のまずさはその通りだと思います。 面白かったのは、実は桐野自身は当初は戦争にそれほど前向きではなかった点。 実は辺見十郎太や別府晋介ら […]

「西南戦争 延岡隊戦記」 著 河野弘善

「西南戦争 延岡隊戦記」  著 河野弘善 西南戦争において宮崎延岡から参加した延岡隊の戦記です。薩摩軍そのものや対する政府官軍を書いた書物は多いですが、この本が珍しいのはいわゆる党薩隊の一つでしかない延岡隊を詳しく描いている点です。驚いたのはその情報量でよくぞここまで調べ上げたなと舌を巻きました。後世に西南戦争とは何だったのかを伝えていくためにも資料的な価値が非常に高い本だと思います。 どうしても […]

「西南戦争従軍紀 空白の一日」 著 風間三郎

西南戦争に従軍した本営大砲隊・久米清太郎の七カ月にも及ぶ従軍日記をもとに描かれた作品です。 注目するべきは、清太郎が兵士として従軍していたのではなく、病院掛として従軍していた点です。 なので、兵士が見た戦争とはまた違う視点で当時の戦争がリアルに描かれています。 医者の心得がある人間などほとんどおらず、また薬品等もまったく十分でない戦場での看護は文字通り地獄絵図ですね。 またあまりの負傷兵の多さに、 […]

「西南戦争 民衆の紀 《大義と破壊》」 著 長野 浩典

「西南戦争 民衆の紀 《大義と破壊》」  著 長野 浩典 西南戦争を薩摩軍や官軍からではなく、民衆の側から描いた本です。 戦争の当事者の側の話になってしまうと、そこに大義やら何やらが入ってしまうのですが、どんな大義があろうと戦争は破壊行為でしかありません。 巻き込まれた民衆からしてみたら、ただ溜まったものじゃない話なんですよね。 この本では、主に宮﨑や大分についての話について語られています。 宮﨑 […]

「自由研究には向かない殺人」 著 ホリー・ジャクソン

「自由研究には向かない殺人」  著 ホリー・ジャクソン 単純に読み物として面白かったです。 厚い文庫ですが、すらすらと一気に読むことが出来ました。 この作品において非常に特徴的であるのが、主人公が女子高校生であり、彼女が自由研究のために殺人事件を解き明かそうとしているところ。 犯人とされている人物と面識があり、彼が人殺しなどするわけないという直感から、主人公は捜査をを始めるのですが、この設定がほか […]

「伊藤博文 近代日本を創った男」 著 伊藤之雄

「伊藤博文 近代日本を創った男」  著 伊藤之雄 伊藤博文の印象がかなり変わりましたね。 この本を読む前は伊藤博文と言えば、大日本憲法を作り、日本を憲法政治へといざなった功績がありながらも、どこか如才のない軽い人物だというイメージが正直ありました。 女性関係にだらしなく、初代韓国統監であり、また韓国人である安重根に暗殺されたことから、植民地主義者というイメージも正直強かったです。 ただ伊藤の人生を […]

「欧化と国粋 明治新世代と日本のかたち」 著 ケネス・B・パイル

「欧化と国粋 明治新世代と日本のかたち」  著 ケネス・B・パイル 無茶苦茶読みごたえがある本でした。 なぜ無茶な太平洋戦争が起こったのか、明治時代に起源を発する思想の変遷が克明に描かれているのでこれまで以上にハッキリと明瞭になりましたね。 ていうか、この話の部分を日本の歴史教育の中では一番しっかりとやるべきところではないかと思うし、もっと言えば、この本時代が日本人皆が読むべき本なのではとすら思い […]

「生きづらい明治社会 不安と競争の時代」 著 松沢裕作

「生きづらい明治社会 不安と競争の時代」  著 松沢裕作 歴史の授業ではすっ飛ばされ、人気の幕末と昭和に挟まれて、大抵の場合何となくしか語られない明治時代。 良くも悪くもなく、ただひたすらに文明開化のイメージしかないために、この時代がどんなものであったのかを知っている人は意外に少ないと思います。 本書は、そんな明治時代がどんな時代であったのかを非常にわかりやすく端的に推し得てくれる本です。 簡単に […]

「鹿鳴館 擬西洋化の世界」 著 宮田 仁

「鹿鳴館 擬西洋化の世界」  著 宮田 仁 「鹿鳴館」の名前は歴史を勉強した人なら誰もが聞いたことがあると思います。 三島由紀夫の小説「鹿鳴館」でも有名ですが、ようするに明治時代に作られた、西洋化を図るためと、外国人を迎賓するための施設ですね。 本書では鹿鳴館が建てられるにいたった背景を詳しく説明しているので、改めて鹿鳴館とは何だったのかがとくわかります。 どうしても華やかなダンスをしていた場所と […]

「わが夫 坂本龍馬 おりょう聞書き」 著 一坂太郎

「わが夫 坂本龍馬 おりょう聞書き」  著 一坂太郎 今や幕末の志士の中でもダントツの人気ナンバー1であり、歴史好きじゃない人でも誰もが知っている坂本龍馬。 司馬遼太郎さんの「竜馬がゆく」の影響が多分に強いことは否めなくとも、その人生というか、男っぷりは今も人々との心を惹きつけています。 その中で、龍馬が選んだ妻が本作の主人公である「おりょう」です。 龍馬の生き方が魅力的であると同時に、龍馬の妻と […]