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弦巻 星之介

「1972年からの来訪」 著 黒川甚平

「1972年からの来訪」  著 黒川甚平 不思議な感覚のする話でした。 あさま山荘事件から二十数年後の話なんですが、その頃の学生運動をやっていた人たちが久方ぶりに集まり、そこで過去の記憶を蘇がえさせいくというストーリーです。 失踪事件を交えて、ミステリーとオカルトっぽい雰囲気が混じるような形で進んでいくのですが、そこに学生運動当時のリアリティのある話が差し込まれていくので、読んでいる人間をいい意味 […]

「ブラッドライン」 著 黒澤 伊織

「ブラッドライン」 著 黒澤 伊織 まず様々な国を横断するような形で(戦争を行っている2国は架空の国ですが)、世界の矛盾を浮かび上がらせようという試みが面白かったです。 自分のアイデンティティに近いものを書くのとは異なり、これだけ広い視点でもって話を語るというのはかなり難しいと思いますが、そこを恐れずに敢えて語っていく作者の作家としての姿勢というか、熱意に敬意を評したいですね。 こうしたチャレンジ […]

東電13兆賠償の意味

東電「13兆円」判決が、日本企業を変える…「不正」「低賃金」体質の改善を促す 先日、福島第一原発の自己責任について、当時の東京電力の経営者が合計で13兆円もの賠償判決が出ました。 大抵この手のものは、無罪か有罪であっても大した金額にならないのがこれまでの日本の慣例でしたが、この金額はさすがに驚きましたね。 まあ、ビル・ゲイツやイーロン・マスクでも13兆円なんて払えないので、このままこれ […]

「太陽系時代の終わり」 著 六角光汰

「太陽系時代の終わり」  著 六角光汰 なかなか読み応えのある話でした。面白かったです。 ハードSFではあるんですが、この手の話は、好きな人はどんどんと読み進めちゃいますね。 単純にその世界観を楽しむことが出来ました。 わたし好みの作品です。 何だか読んでいくうちに、いい意味でこれまで読んだSF小説を思い出したので、そういう意味でも楽しかったですね。 レスター少年は、わたしの好きな「時間封鎖」シリ […]

「純血主義」を貫くほど、古臭くなっていく日本企業

増える若者の非正規…「純血主義」を貫く日本企業の正体 日本企業の風土を説明した話ですが、なるほどその通りだと思いますした。 簡単に説明すると、人生のすべてを会社に捧げ(フルコミット)、どんな命令にも絶対に従い(ヒエラルキー)、新卒で若くして入社した純血の人だけが優遇され、よそ者は入りづらい(クローズ)のこの三つの暗黙の了解があり、この三つをクリアした人だけが保護されるという仕組みになっ […]

「日本SFの臨界点[恋愛篇] 死んだ恋人からの手紙 伴名練 編

「日本SFの臨界点[恋愛篇] 死んだ恋人からの手紙  伴名練 編 SF作家の伴名練さんが編集したアンソロジーですね。 姉妹編の「怪奇篇」が面白かったので、「恋愛篇」も読んでみました。 収録されているのは、以下の9篇です。 「死んだ恋人からの手紙」中井紀夫 「奇跡の石」藤田雅夫 「生まれてくる者、死にゆく者」和田毅 「劇画・セカイ系」大樹連司 「G線上のアリア」高野史緒 「アトラクタの奏でる音楽」扇 […]

「日本SFの臨界点[怪奇篇] ちまみれ家族」 伴名練 編

「日本SFの臨界点[怪奇篇] ちまみれ家族」  伴名練 編 SF作家の伴名練さんが、優れた作品でありながらも、これまで種々の短編集で拾われていない作品を集めたアンソロジーです。 集められた短編は、 ・「DECO-CHIN」中島らも ・「怪奇フランクル男」山本弘 ・「大阪ヌル計画」田中哲弥 ・「ぎゅうぎゅう」岡崎弘明 ・「地球に磔にされた男」中田永一 ・「黄金珊瑚」光波燿子 ・「ちまみれ家族」津原泰 […]

安倍元首相の国葬は、自民党と旧統一教会との関係を明らかにしてから検討するべき

安倍元首相の国葬を秋に実施へ 岸田首相が表明、費用は政府拠出 安倍元首相を国葬にすると言っているのですが、その理由が「民主主義を守るため」ってそれは違うでしょ。 そもそも犯人は、安倍氏が関係したと言われる宗教団体への逆恨みとして安倍氏を殺しているのであって、政敵でもなければ、政治思想に異議があったわけではないですからね。 そんなことよりも、ハッキリ言って犯人が恨みを持っていたと言われる宗教団体、旧 […]

参院選で参政党が1議席獲得。なぜ左派政党は若者の支持を得られないのか。

参院選が終わりました。 安倍元首相が撃たれて亡くなった事件を受けてか、大方の予想通り自民党が圧勝しました。 一方で立憲民主党をはじめ左派政党が議席を減らすこともある程度予測が出来ましたが、個人的に最も驚かされたのは、泡沫候補と思われていた参政党が1議席を獲得したことです。 参政党はいわゆる戦前の右翼に似たような考え方を持つ団体なのですが、SNSなどを駆使した戦略でワクチン反対派や若者たちを取り込み […]

安倍元首相、死す。政治家たちの言葉に思う、誰が民主主義を冒涜しているのか?

先週の安倍晋三元首相の銃撃死には驚きました。 まずはご冥福をお祈りしますいたします。 それにしても、安倍元首相の死の後のそれぞれの反応を見て改めて思い知らされるのは、この国の意識における社会分断がかなり深く進行しているという点です。 まず共通認識として相手が誰であれ暴力によって力づくて解決を図ろうとするのはいけません。 ただ当然誰もがそこは納得しつつも、安倍元首相の死に関してその先の反応がわかりや […]