「藤村多希 ――明治を生きた産婆――」 著 渡辺せつ子
「藤村多希 ――明治を生きた産婆――」 著 渡辺せつ子 まったく無名の人なんですが、それだけに興味深い話でした。 あまりに資料がないために、小説という形をとっていますが、実在の人の生き様を詳しく描いてくれているので、いわゆる偉人の話よりもある意味でこの時代の空気感のようなものがよく伝わってきます。 産婆という職業にスポットを当てていることにも惹かれますね。 確かに産婆は昔からある職業です。 経験 […]
「藤村多希 ――明治を生きた産婆――」 著 渡辺せつ子 まったく無名の人なんですが、それだけに興味深い話でした。 あまりに資料がないために、小説という形をとっていますが、実在の人の生き様を詳しく描いてくれているので、いわゆる偉人の話よりもある意味でこの時代の空気感のようなものがよく伝わってきます。 産婆という職業にスポットを当てていることにも惹かれますね。 確かに産婆は昔からある職業です。 経験 […]
「妾と愛人のフェミニズム 近・現代の一夫一婦の裏面史」 著 石島亜由美 妾や愛人の社会的イメージが明治、大正、昭和、平成と時代が変わる中でどう変遷していったのかを、新聞、雑誌、文学作品などを通して解き明かしていく作品です。 まず驚いたのは、明治の初期の話。 このとき、本の数年の間ですが、妾が法的に認められ、妻と同等の立ち位置にあった時期があったんですね。 皇室が男系継承であることへの整合性であっ […]
「利通暗殺 凶刃に斃れた日本リーダー”」 著 遠矢浩規 明治維新の立役者であり、維新後の明治政府を引っ張った大久保利通が暗殺された紀尾井町事件を克明に描いた本です。 もはや日本史に詳しい人にしか知らない事件で、歴史に埋もれてしまっていると言っても過言でないのですが、個人的には、大久保利通がここで亡くなったことは、その後の日本史にとっての分水嶺になったと考えているので、非常に興味深く読むことが出来 […]
福地源一郎とも呼ばれ、幕末から明治にかけて活躍した人物ですが、なかなか一言で語るには難しい人物の話です。 幕末は外国方幕臣として通訳として活躍していました。 遣欧使節の一行に選ばれて活躍していますね。 維新後は、大蔵省に入ったこともありましたが、のちに東京日日新聞に入社してジャーナリストとして活躍します。 記者として西南戦争に赴き、最初に現地に行って戦争を報道をした人として有名ですね。 その後は記 […]
「栗本鋤雲」 著 小野寺龍太 幕末期に江戸幕府の幕臣として活躍した人ですね。 この人とかが、歴史好き、特に幕末好きという人にもなかなか名前を覚えてもらえないあたりに、いかに勝てば官軍と言うか勝った側の人物ばかりが歴史に名を残しているというのがよく分かります。 簡単に説明すると、この人、元々は奥医師なんですけれど、函館に異動になり、その先で史籍となって北海道開拓に尽力した人です。 樺太や今は北方領 […]
「狼の義」 著 林新・堀川惠子 小説形式でわかりやすく表現されている犬養毅の伝記です。 犬養毅と言えば、多くの人が思い浮かべるのが現職の総理大臣として5.15事件で青年将校たちに殺されたという話です。 あまりにそのインパクトが強すぎるため、歴史に詳しくない人にとっては犬養毅といえばその話しか思い浮かばない人が多いと思うし、5.15事件自体が2.26事件よりも時代的に前であるために影が薄い印象にな […]
幕末から西南戦争で活躍した薩摩の桐野利秋を掘り下げた本です。 桐野と言えば、西南戦争で事実上薩軍を指揮し、その戦略なき戦い方が批判されている人として有名ですね。 たぶんにそれは司馬遼太郎さんの「翔ぶがごとく」の影響が強いことは否めませんが、西南戦争における桐野の戦略のまずさはその通りだと思います。 面白かったのは、実は桐野自身は当初は戦争にそれほど前向きではなかった点。 実は辺見十郎太や別府晋介ら […]
「西南戦争 延岡隊戦記」 著 河野弘善 西南戦争において宮崎延岡から参加した延岡隊の戦記です。薩摩軍そのものや対する政府官軍を書いた書物は多いですが、この本が珍しいのはいわゆる党薩隊の一つでしかない延岡隊を詳しく描いている点です。驚いたのはその情報量でよくぞここまで調べ上げたなと舌を巻きました。後世に西南戦争とは何だったのかを伝えていくためにも資料的な価値が非常に高い本だと思います。 どうしても […]
西南戦争に従軍した本営大砲隊・久米清太郎の七カ月にも及ぶ従軍日記をもとに描かれた作品です。 注目するべきは、清太郎が兵士として従軍していたのではなく、病院掛として従軍していた点です。 なので、兵士が見た戦争とはまた違う視点で当時の戦争がリアルに描かれています。 医者の心得がある人間などほとんどおらず、また薬品等もまったく十分でない戦場での看護は文字通り地獄絵図ですね。 またあまりの負傷兵の多さに、 […]
「西南戦争 民衆の紀 《大義と破壊》」 著 長野 浩典 西南戦争を薩摩軍や官軍からではなく、民衆の側から描いた本です。 戦争の当事者の側の話になってしまうと、そこに大義やら何やらが入ってしまうのですが、どんな大義があろうと戦争は破壊行為でしかありません。 巻き込まれた民衆からしてみたら、ただ溜まったものじゃない話なんですよね。 この本では、主に宮﨑や大分についての話について語られています。 宮﨑 […]