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文化

「暗殺」 著 柴田哲孝

「暗殺」  著 柴田哲孝 安倍元首相の暗殺事件をモチーフにした小説です。 モチーフというよりは、名前こそ変えていますが、ほぼ事件を背景にしています。 そこに様々な創作が足される形で入っているのですが、もはや小説なのかルポなのか読んでいくうちによくわからなくなっていきます。 まあ、陰謀論と言ってしまえば、それまでなのですが、そうと片付けるには念密な取材をしており、さすがはノンフィクションとフィクショ […]

「五代友厚と北海道開拓使事件 明治十四年の大隈追放と五代攻撃の謎に迫る」 著 末岡照啓

「五代友厚と北海道開拓使事件 明治十四年の大隈追放と五代攻撃の謎に迫る」 著 末岡照啓 明治十四年の政変において、民権派が大騒ぎし、大隈追放に至った直接の切っ掛けを作った事件を克明に追った本です。 当時ボコボコに非難されていた五代側の資料を克明に追っています。 確かにそこから読み取れるのは、北海道開拓使事件そのものが政争の種に途中からなっており、五代や大隈はあくまでその犠牲者に過ぎないということ。 […]

「井上 毅」 著 大石眞

「井上 毅」  著 大石眞 明治時代に近代国家を作り上げ、今の日本の土台を形成したのは、誰かと言われた時に、まず名前が挙がるのが、大久保利通であり、伊藤博文であると思います。 しかし、その二人の巨人にも負けずに、この頃の日本の形成に大きく影響を及ぼした人物がいます。 それがこの本で紹介している井上毅です。 大久保や伊藤と違い、薩長の出身でもなく、幕末に目立った活躍をしたわけでもない井上は、政治家で […]

「維新政府の密偵たち 御庭番と警察のあいだ」 著 大日方純夫

「維新政府の密偵たち 御庭番と警察のあいだ」  著 大日方純夫 まさに忘れられた歴史の話ですね。 江戸時代に幕府の諜報機関として有名なのはいわゆる御庭番衆と呼ばれる人たちです。 これは色々なドラマに出て来るので有名ですね。 漫画「るろうに剣心」にも登場します。 そしてその現代の御庭番の役目は警視庁公安部ということになりますが、この本で主題となっているのは、御庭番と警察の間の話です。 わずかな時間で […]

「血を分けた子ども」 著 オクティヴィア・E・バトラー

「血を分けた子ども」  著 オクティヴィア・E・バトラー 初の黒人女性のSF作家といわれるオクティビア・E・バトラーの短編集です。 表題作を含め9編の短編と二つのエッセイが収録されています。 SFでありながらも、SFという特性を上手く使った社会性が基調としてあり、どれも思わず食い入るように読んでしまう作品でした。 これは作者が黒人で女性であるという二重のマイノリティを持つ出自にあるからであり、その […]

「銀河鉄道の父」 著 門井慶喜

「銀河鉄道の父」 著 門井慶喜 「銀河鉄道の夜」「風の又三郎」「注文の多い料理店」など日本の童話史に欠かせない存在である宮沢賢治の父、政次郎を主人公にした物語です。 小説はある意味で、その切り口が勝負ともいえますが、政次郎を主人公にして、さらにタイトルを「銀河鉄道の父」とつけた時点で勝負ありですね。 名作にならないわけがありません。 実際、宮沢賢治の個人史は伝記などでそれなりに有名ですが、政次郎の […]

「東京、はじまる」 著 門井慶喜

「東京、はじまる」  著 門井慶喜 明治の建築家、辰野金吾の人生を描いた歴史小説です。 日本銀行や東京駅といった今も残る建築を設計した建築家の話ですね。 建築家の話なので、もっと理系の小難しい単語が並ぶ話なのかと思いきや、幕末から明治に至る辰野自身の人としての変遷を描いたナラティブであったので、非常に感情移入して読めました。 それでいて専門的な建築や歴史の話もわかりやすくキッチリと入っているので、 […]

「現代語縮訳 特命全権大使 米欧回覧実記」 編著 久米邦武 

「現代語縮訳 特命全権大使 米欧回覧実記」  編著 久米邦武  岩倉使節団を記録するために使節団に付き従った久米邦武の実記ですね。 歴史的な価値が非常に高い実記で、これだけを読んでも、岩倉使節団が西欧を見たことが後の日本にとっていかに重要であったのかがわかりますし、また色々とトラブルはあったものの、使節団がただ西欧の文化を礼賛して受け入れたわけではなく、それぞれの国を比較しながら、何を受け入れるこ […]

「新ジャングルの王者ターちゃん♡」 著 徳弘正也

「新ジャングルの王者ターちゃん♡」  著 徳弘正也 単純に面白い これほどまでにギャグとシリアスを両立させている作品も珍しいと思います。 確かに今の時代からしてみれば、下ネタのオンパレードなので下品だと言われれば、それは否めません。 ただ徳弘さんの下ネタは嫌な感じがせず、単純に笑えるんですよね。 子どもの頃もゲラゲラと笑っていたし、大人になって読み返してみてもやっぱり笑える。 下ネタを書かせたら、 […]