「銀河鉄道の父」 著 門井慶喜
「銀河鉄道の父」 著 門井慶喜 「銀河鉄道の夜」「風の又三郎」「注文の多い料理店」など日本の童話史に欠かせない存在である宮沢賢治の父、政次郎を主人公にした物語です。 小説はある意味で、その切り口が勝負ともいえますが、政次郎を主人公にして、さらにタイトルを「銀河鉄道の父」とつけた時点で勝負ありですね。 名作にならないわけがありません。 実際、宮沢賢治の個人史は伝記などでそれなりに有名ですが、政次郎の […]
「銀河鉄道の父」 著 門井慶喜 「銀河鉄道の夜」「風の又三郎」「注文の多い料理店」など日本の童話史に欠かせない存在である宮沢賢治の父、政次郎を主人公にした物語です。 小説はある意味で、その切り口が勝負ともいえますが、政次郎を主人公にして、さらにタイトルを「銀河鉄道の父」とつけた時点で勝負ありですね。 名作にならないわけがありません。 実際、宮沢賢治の個人史は伝記などでそれなりに有名ですが、政次郎の […]
「東京、はじまる」 著 門井慶喜 明治の建築家、辰野金吾の人生を描いた歴史小説です。 日本銀行や東京駅といった今も残る建築を設計した建築家の話ですね。 建築家の話なので、もっと理系の小難しい単語が並ぶ話なのかと思いきや、幕末から明治に至る辰野自身の人としての変遷を描いたナラティブであったので、非常に感情移入して読めました。 それでいて専門的な建築や歴史の話もわかりやすくキッチリと入っているので、 […]
「現代語縮訳 特命全権大使 米欧回覧実記」 編著 久米邦武 岩倉使節団を記録するために使節団に付き従った久米邦武の実記ですね。 歴史的な価値が非常に高い実記で、これだけを読んでも、岩倉使節団が西欧を見たことが後の日本にとっていかに重要であったのかがわかりますし、また色々とトラブルはあったものの、使節団がただ西欧の文化を礼賛して受け入れたわけではなく、それぞれの国を比較しながら、何を受け入れるこ […]
「岩倉使節団の群像 日本近代のパイオニア」 編 米欧亜回覧の会/泉三郎 岩倉使節団の概要やメンバーの紹介を知ることだけでなく、使節団の歴史的意義を考えさせてくれる本です。 確かに近代の起点としてこの使節団を考えた時、その歴史的意義の重要さがわかってきますね。 この明治の初期というときに、政府をまさに動かしている者だけでなく、これから動かそうとしている者たちの多くが実際に欧米の良いところだけでなく […]
「物語 東ドイツの歴史 分断国家の挑戦と挫折」 著 河合信晴 東ドイツのイメージと言えば、やはりベルリンの壁であり、1989年の壁崩壊によって西ドイツに吸収される形で東西ドイツが統一したという話ばかりがどうしてもフューチャーされてしまいます。 本書では東ドイツがどのように建国され、どのように国として成り立っていったのか、西側主観に拠らず、客観的に書かれているので非常に勉強になりました。 完全に分 […]
「明治十四年の政変」 著 久保田哲 伊藤博文、大隈重信、福沢諭吉……もはや教科書やお札でしか知らない明治の政治家や論客がこんなにも人間臭い攻防をしていたとは知りませんでした。 確かに世間的にそれほど知られていない話ですが、大久保利通暗殺後に、誰が権力を握るのかを考える上で、明治という時代の分水嶺になった出来事であることは確かですね。 面白いのは結果的には大隈重信が政府から追放されるのことになるの […]
「岩倉使節団 誇り高き男たちの物語」 著 泉三郎 「岩倉使節団」という言葉は当然中学生くらいのときから知っていましたが、具体的にそれがどんな旅であったかまでは正直よく知りませんでした。 ただぼんやりと当時の政府の首脳が近代化された西欧を見て回り、西欧化つまり富国強兵と殖産興業を進めていかないと考えるに至ったこと、その後そうした使節組の首脳たちの変化が征韓論争において西郷たちとの軋轢を生んだという […]
「木戸孝允」 著 松尾正人 維新三傑に西郷隆盛と大久保利通とともに名を連ねる木戸孝允に迫った本です。 木戸孝允と言えば、幕末における桂小五郎時代のことはわかるけれど、木戸孝允になってからはイマイチ何をやったのかわからないという人が多いと思います。 まあ、実際、映画や小説で取り上げられるのは、桂小五郎時代の話ですし、池田屋事件や禁門の変、それに薩長同盟などドラマティックな場面がどうしても印象に残っ […]
スタジオジブリの名プロデューサーである鈴木敏夫さんのドキュメントエッセイ集です。 ジブリといえば、どうしても宮﨑駿監督と高畑勲監督の二人の存在が大きいのですが、この本を読むと改めて鈴木さんがいなければ、ジブリがなかったといっても過言ではないことがわかります。 そもそも宮﨑監督との最初のエピソードからしてすごいですね。 アニメージュの編集者として、宮﨑監督の密着した鈴木さんでしたが、商業主義的なアニ […]
「藤村多希 ――明治を生きた産婆――」 著 渡辺せつ子 まったく無名の人なんですが、それだけに興味深い話でした。 あまりに資料がないために、小説という形をとっていますが、実在の人の生き様を詳しく描いてくれているので、いわゆる偉人の話よりもある意味でこの時代の空気感のようなものがよく伝わってきます。 産婆という職業にスポットを当てていることにも惹かれますね。 確かに産婆は昔からある職業です。 経験 […]