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厳選名著紹介

「文化人類学の思考法」 編 松村圭一郎、中川理、石井美保

「文化人類学の思考法」 編 松村圭一郎、中川理、石井美保 文化人類学という学問を知っているでしょうか? たぶん多くの人にとっては、どこかで聞いたことがあるかもしれないけど、具体的に説明するのはちょっと難しいと感じる学問でしょう。 その名の通り、文化人類学とは、人類の文化の在り方を学ぶ学問です。 これが深く知っていけばいくほど面白いのですが、特徴的なのはその独特の思考法と言えると思います。 この本は […]

「囚われし者たちの国 政界の刑務所に正義を訪ねて」 著 バズ・ドライシンガー

「囚われし者たちの国 政界の刑務所に正義を訪ねて」  著 バズ・ドライシンガー これはすごいルポタージュでした。刑務所から大学へのパイプラインというプログラムをアメリカで立ち上げた大学教授の著書なのですが、刑務所で教えるうちに、刑務所の在り方、司法の在り方を大きな視点で問い直したいという動機で世界中の刑務所を訪ねた歩いた記録です。 わたしたちの社会には、当たり前のように刑務所があり、悪いことをした […]

〈家父長制〉は無敵じゃない 日常からさぐるフェミニストの国際政治 著 シンシア・エンロー

〈家父長制〉は無敵じゃない 日常からさぐるフェミニストの国際政治 著 シンシア・エンロー 社会の様々な場面で支配の顔を覗かせる家父長制に対して、フェミニストたちがいかに戦ってきたのかを記した本です。 男性の中には、フェミニスト=男性を攻撃する人と認識している人も多いと思いますが、この本を読むとわかりますが、フェミニストは男性そのものを攻撃しているわけではなく、家父長制がおかしいと主張しているんです […]

「人新世の「資本論」」 著 斎藤幸平

「人新世の「資本論」」 著 斎藤幸平 言いたいことはとてもわかる本でした。 確かに気候変動問題は待ったなしで、そのためにはドラスティックに資本主義を変えて行かなきゃいけないこともわかります。 理想という意味では、この人の考え方は正しいと思います。 ただあまりに話がラディカル過ぎて、本当にそれで皆が納得してすんなりといくのかっていうことを考えると、どうしてもそれをそのまま受け取れない自分が心のどこか […]

「ブルシット・ジョブ クソどうでもいい仕事の理論」 著 デヴィット・グレーバー

「ブルシット・ジョブ クソどうでもいい仕事の理論」 著 デヴィット・グレーバー とても興味深い本でした。ブルシット・ジョブとは、本の題名通りに「クソどうでもいい仕事」つまり、世の中にみんな存在していることは知っていても、特に口には出されないようなあってもなくてもいい仕事という意味です。 著者の造語ですが、最近では一般化してきているようです。そして本著では、まずブルシット・ジョブの定義づけから始まり […]

「わかりやすさの罪」 著 武田砂鉄

「わかりやすさの罪」  著 武田砂鉄 その通りです。概ねこの著者の言っていることに同意が出来るなと思いました。確かに世の中何でもかんでもわかりやすくわかりやすくしすぎです。 いや、個人的にはわかりやすくすること自体は悪いことではないと思うのですが、何でもかんでもわかりやすくすることがあたかも正しいように扱われるのはちょっと違うと思います。 映画や小説を見ても、みんなわかりやすいカタルシスばかりを求 […]

「アフリカ出身 サコ学長、日本を語る」 著 ウスビ・サコ

「アフリカ出身 サコ学長、日本を語る」 著 ウスビ・サコ 以前からネットなどの記事で見かけ、コロナ禍における日本に対する意見を読んで一目置いている人でした。 アフリカ、マリ出身でありながら、京都精華大学の学長をやっている、日本社会おいてものすごく稀有な人ですね。 他人こそ自分のことをよく知っているという格言がありますが、これは国のこともあてはまります。 日本に住む外国出身の人だからこそ、日本社会に […]

「うしろめたさの人類学」 著 松村圭一郎

「うしろめたさの人類学」  著 松村圭一郎 とても考えさせられる本でした。世界を良くするために具体的に何をすればを教えてくれるわけではないのですが、どう考えればいいのかを教えてくれます。 著者はエチオピアを研究する人類学の先生です。構築人類学というものを提唱しているのですが、いまここにある現象が誰かによって構築されたものであるのなら、それを構築し直すことで世の中がよくなるんじゃないかという考え方で […]

「同調圧力 日本社会はなせ息苦しいのか」 著 鴻上尚史 佐藤直樹

「同調圧力 日本社会はなせ息苦しいのか」  著 鴻上尚史 佐藤直樹 やや日本の社会をディスりすぎているような気もしなくもないですが、概ねこの本で言っていることは正しいと思います。 コロナ禍でとても息苦しい思いをした人はたくさんいると思いますが、なぜ息苦しいのかをよく説明してくれている本です。 個人的にも考えていたことをこの本を読んだことによって頭の中でうまく整理出来たような気がします。 特に「社会 […]

「笛吹川」 著 深沢七郎

「笛吹川」  著 深沢七郎 「楢山節考」を書いた深沢七郎さんの作品です。 なので結構古い作品なのですが、わたしがなぜこの本を読んだのかというと、わたしの父方の先祖と思しき人間がこの小説に出て来るからです。 その名は土屋惣藏。 史実では武田二十四将の一人である土屋昌続の弟であり、信玄が死に、長篠の戦で武田が敗れた後も武田に付き従った武将ということになっています。 この人が有名なのは、武田家最後の家臣 […]