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厳選名著紹介

「同調圧力 日本社会はなせ息苦しいのか」 著 鴻上尚史 佐藤直樹

「同調圧力 日本社会はなせ息苦しいのか」  著 鴻上尚史 佐藤直樹 やや日本の社会をディスりすぎているような気もしなくもないですが、概ねこの本で言っていることは正しいと思います。 コロナ禍でとても息苦しい思いをした人はたくさんいると思いますが、なぜ息苦しいのかをよく説明してくれている本です。 個人的にも考えていたことをこの本を読んだことによって頭の中でうまく整理出来たような気がします。 特に「社会 […]

「笛吹川」 著 深沢七郎

「笛吹川」  著 深沢七郎 「楢山節考」を書いた深沢七郎さんの作品です。 なので結構古い作品なのですが、わたしがなぜこの本を読んだのかというと、わたしの父方の先祖と思しき人間がこの小説に出て来るからです。 その名は土屋惣藏。 史実では武田二十四将の一人である土屋昌続の弟であり、信玄が死に、長篠の戦で武田が敗れた後も武田に付き従った武将ということになっています。 この人が有名なのは、武田家最後の家臣 […]

「歪んだ正義 「普通の人」がなぜ過激化するのか」 著 大治朋子

「歪んだ正義 「普通の人」がなぜ過激化するのか」  著 大治朋子 非常に興味深い本でした。 著者は毎日新聞の記者なんですけれど、特派員としてイスラエルや中東地域を取材している人で、休職をしてテルアビブの大学院で危機・トラウマ学を勉強した人です。 組織に属することなく、単独でテロを起こす人(いわゆるローンウルフ)が日常的に多い、パレスチナ・イスラエルの地区において、彼らローンウルフがどうしてテロを行 […]

「ある一生」 著 ローベルト・ゼーターラー

「ある一生」  著 ローベルト・ゼーターラー 久しぶりに文学を読んだな、っていう気持ちにさせてくれた小説でした。 内容そのものは、あまりに平凡な男の人生を追っているだけの淡々とした物語なのですが、それが妙に引きつけられ、まるで我がごとのような気持になって、彼の人生を追ってしまうんですよね。 この小説を読んでいて、絶えず意識させられるのは時間です。 そもそも一人の人間の一生をテーマにしているのだから […]

「大分断 教育がもたらす新たな階級化社会」 著 エマニュエル・トッド

「大分断 教育がもたらす新たな階級化社会」  著 エマニュエル・トッド とても興味深い本でした。本の副題通りに教育が新たな階級化社会を生み出してしまっているということを主張している本なのですが、その通りだと思います。 ほとんどの国のエリート校には、莫大な投資とそれなりの文化資本がなければそもそも入学できず、そしてエリート校を卒業した人々が政治経済の中枢を牛耳っている。つまり既得権益を持つ人間たちの […]

「ほとんど想像すらされない奇妙な生き物たちの記録」 著 カスパー・ヘンダーソン

「ほとんど想像すらされない奇妙な生き物たちの記録」  著 カスパー・ヘンダーソン 21世紀の幻獣辞典との触れ込みに惹かれて読んだ本ですがとても興味深い本でした。 そもそも幻獣とはまだ生物学が発展しておらず、移動距離もたがが知られていたために、現実と想像とがゴッチャになっている中世において生まれた生物たちのことを言います。分かりやすい例をあげればペガサスとかユニコーンなどと言えば、理解出来ますね。 […]

「東京の下層社会」 著 紀田順一郎

「東京の下層社会」  著 紀田順一郎 現代の人にとって明治時代と言えば、明治維新から始まり文明開化が進む明るい印象があるかもしれません。 「はいからさんが通る」とか「るろうに剣心」などといった明治時代を扱った漫画作品などにより、どちらかというと新しいことに向かっていくような明るいイメージを持つ人も多いでしょう。 この本はそんな現代人にとって、明治時代とはそんな時代じゃないということをこれでもかとい […]

「悪の脳科学」 著 中野信子

「悪の脳科学」  著 中野信子 藤子不二雄Aの名作漫画『笑ゥせぇるすまん』。わたしにとっては、子どもの頃にアニメで見て、おなじみの作品です。 あの「ハットリくん」や「怪物くん」を書いた人と同じ人物が、こんなブラックな話を書くとは、と最初に観た時に驚いたことを覚えています。 さて、本書ではこの『笑ゥせぇるすまん』の主人公である喪黒福造に焦点を当て、彼がなぜさまざまな手段を使って人を騙し、破滅に導いて […]

「男らしさの終焉」 著 グレイソン・ペリー

「男らしさの終焉」  著 グレイソン・ペリー ジェンダーの話と言えば、大抵は女性の人が何かを書いていることが多いのですが、この本が特徴的で重要なのが男性が男らしさに対して一石を投じているという点です。作者のグレイソン・ペリーはイギリスでは有名なアーチストで、確かに女装が趣味である点などいわゆる一般的な男性像とはいいにくい部分はあるものの、男性の在り方に大して疑問に思っているん点はおおむね正しいこと […]

「君たちはどう生きるか」 著 吉野源三郎

「君たちはどう生きるか」  著 吉野源三郎 宮﨑駿監督がこの本を題材に映画を作るということで、再び脚光を浴びた名著です。 一言で感想を言えば、もっと早く出会いたかった本でした。高校、大学、せめて二十代のときに出会っていたら、間違いなく人生の一つの指針となった本です。自分の子どもに読ませたい本、堂々の一位ですね。 物語そのものは、とても地味です。いわゆる少年のありふれた日常を描いているのですが、その […]