巨人阿部2軍監督の罰走予告に、ソフトバンクとの差を感じる。

巨人・阿部2軍監督 「ダルビッシュ君にチクチク言われて」 賛否両論も来季の罰走を予告

何か罰走をバシバシやらせるって、高校野球っていうか、昭和を感じてしまいました。
中学の時にバスケ部で、夏休みの練習を一日休むたびに校庭十週を走らされたのを思い出しましたよ。

たぶん、今のソフトバンクとか黄金期の西武とかって、罰で走らされるんじゃなくて、そもそも競い合いの中で自分で考えて、走り込みとかも自発的にやっていると思うんですよね。それが罰じゃないと走り込みをしないというのが、今の巨人の選手の意識なのだと思います。

ただ阿部監督は一概には責められませんよね。
どうにか練習をさせたいという想いからの言葉であるだろうし、そうでもしないからこそ、なかなかやらない。だからこそ、こんな時代錯誤なことを言わざるを得ないんでしょうね。
巨人の場合は、ヘンにセリーグで勝ててしまうからこそ、井の中の蛙状態になってしまって、なかなか意識が変わらないのかもしれません。
まあ、そのセリーグで勝てているというのも、若手を底上げてというよりは、FAでセリーグのほかの主力を獲得して、相手チームの戦力を削いだ上ですからね。
慢性的にこういう感じでチーム作りをして、それで中途半端に勝てているからこそ、それ以上何をすればいいのか、自分では考えられなくなっているんだと思います。

これって、野球だけじゃなく、一般的な会社とかにも当てはまりますよね。
若い子の意識がなかなか変わらない。
早く結果を出したいからこそ、上司は強い言葉や行動で葉っぱをかける。
結果的に若い子が委縮してしまう。

わたしも若い子を教育することがありますが、今の若い子の意識を変えるには、たぶんある程度の時間は必要だと思います。とくに今の若い子は場当たり的な対応は絶対にNGです。意識を変えるのだとしたら、その理由や、そこに至るプロセスのなぜ?に対してちゃんと答えられなければいけません。
昔の体育会のノリで、単に「自分で考えろ」や「見て盗め」では、ダメなんです。
突き放すにしても、ヒントを与えるなり、フォローをするなり、突き放す方もちゃんと考えを持ち、それを伝えるようにしないとね。

そしてそう考えると、意識の変え方、つまり組織が求めている状態を肌で知っている人、そのやり方を知っている人がマネジメントをする立場にいないと厳しいんですよね。
確かに阿部2軍監督も強い巨人のときにレギュラーでした。
でも、阿部2二軍監督がいるときの巨人もやはり、FA補強でチームを維持しているチームであり、本質的にソフトバンクや黄金期の西武とはチームの作り方も選手の自立の仕方も違うのかもしれません。

もちろん阿部2軍監督には、その人なりのいい部分や、その人にしか教えられないことはたくさんあると思います。
ただ日本シリーズでの2年連続の惨敗から学び、より強いチームを目指すのなら、今まで通り補強で何とかするのではなく、チーム作りの上で今までとは違うアプローチの仕方も必要なのではないでしょうか。

個人的には、元ソフトバンク監督の秋山さんをGMなどの何らかの責任あるポストに招聘すると面白いんじゃないかと思っています。
黄金期の西武と、ソフトバンクが強くなっていく様の両方を知っている稀有な人ですからね。
また監督やコーチだけでなく、組織の運営の上でソフトバンクのことをよく知っている人を招聘するというのもありかもしれません。
そもそも三軍制を言い出した小林至さんとかも。劇薬かもしれませんが。

まあ、そのへんは巨人だけに限らず、他の球団にも言えることですが。
今のソフトバンクの礎を築いたのは、根本さんであり、王さんであり、移籍してきた秋山さんであり工藤現監督です。
王さんは言わずと知れた巨人V9戦士です。
根本さんも、秋山さんも工藤現監督も西武の黄金期の屋台骨を支えてきた人たちです。
つまり恥も外聞もなく、本当の強さを知っている人にチーム作りのイロハを学んだからこそ、今のソフトバンクがあるんです。

球団としてプライドを持つのもいいと思いますが、そのプライドが負の連鎖をもたらしているのだとしたら、本末転倒です。

組織として何を目指し、プレーヤーにどんな風になってほしいのか。
そのビジョンをハッキリと持っている人を見極める。そして、その人に任せる。

ソフトバンクに追いつけ追い越せのチームを作るには、まずその点が大事なのだと思います。
つまり、血の入れ替えといって選手だけを大量に入れ替えるだけでなく、それをマネジメントする側も変わらなきゃいけないっていうことですね。