国連ビジネスと人権に関する指導原則は、2011年に国連人権理事会で承認された、全ての国と企業が尊重すべきグローバル基準です。法的拘束力はありませんが、様々なCSR基準に影響を及ぼし始めているなど、その影響力は極めて大きいものとなっています。
ビジネスと人権に関する指導原則は、以下の3つの構成からなっています。
1. 人権を保護する国家の義務
2. 人権を尊重する企業の責任
a. 方針によるコミットメント
b. 人権デュー・ディリジェンス
c. 是正
3. 救済へのアクセス
ようするに、国家には企業の人権侵害から個人を「保護」する義務を、企業には人権を「尊重」する責任を求め、そして人権侵害から個人を「救済」する仕組みの必要性を示しているわけですね。ちなみに「人権デュー・ディリジェンス」とは、人権侵害の特定・評価から対処する取り組みの継続的評価、情報提供に至るプロセスのことを言います。
普段「人権」を意識することはなかなかないかもしれませんが、ビジネスにおいては、社会的に弱い立場に置かれていたり、排除されるリスクが高い集団に属する人々が存在し、その人たちが直面している課題に注意を払わなければなりません。この指導原則では、そうしたあらゆる事業活動における「人権リスク」をチェックし、評価、対処することを求めています。