NPO・社会的事業をどう評価するのか?① ~組織評価について~

一般的に営利目的を持ったか会社を評価する場合は、その会社の売り上げや規模などを考慮に入れればいいので、分かりやすいです。
でも、NPOをはじめとする非営利活動を評価する場合は、あくまで売り上げが目的ではなく、どう社会に貢献しているかがポイントになってくるので、これがなかなか数字として出てくるものでないだけに非常に分かりにくく、正直ちょっと評価がしづらいです。

ではその評価のしづらい非営利活動法人の社会的事業を、現状では、社会は何をどのように評価しているのでしょうか? そのへんを少し詳しく見てみましょう。

まず非営利活動法人の社会的事業の評価には、大きく分けて組織運営の健全性などを評価する「組織評価」と、実施している事業の成果を評価する「事業評価」の二つがあります。

二つをいっぺんに頭に入れようとすると混乱するので、今回はまず「組織評価」の方を見てみましょう。

一般的に非営利活動法人の「組織評価」がどのような形でされているのかというと、一言で言えば、評価ツールを元に行われています。

「組織評価」に関する評価ツールとは、様々な専門団体がそれぞれの評価目的や評価方法によって開発されたものです。有名なものとしては、

・公益社団法人パブリックリソース財団の組織診断
・非営利組織評価センター(JCNE)の組織評価

があります。またその他にも、

[自己評価] ・NPO理事会の自己評価・NPO理事による事務局長評価(Board Source)
・自己評価ツール(ドラッカー財団)
[第三者評価] ・寄附者のための情報提供を目的としたNPOの格付け(American Institute of Philanthropy(AIP))
・独自に設定した基準(Standards for Charitable Solicitations)を満たしているか どうかという視点で評価(The Council of Better Business Bureaus (CBBB))
[自己評価に基づく 第三者評価] ・The Core Capacity Assessment Tool (CCAT)、(TCC Group)
[国内] ・「評価みえ」評価システム
・エクセレント NPO(「エクセレント NPO」をめざそう市民会議)

などがありますね。

もちろん、それぞれのツールによって、設けられている基準や重要視されている内容が違いますが、おおむね共通な評価ポイントしては、ガバナンスやコンプライアンスなどの組織の透明性に関すること、自己評価と第三者評価の両面から客観的な現状を抽出するということ、社会課題の解決に向けて、団体がどれだけの専門性や先進性を持ち合わせて目的を達成しているかということ、また事務局の運営の在り方や財政基盤などが挙げられます。

ようするに評価をされていく中で、自分たちの団体が何を目指し、そのためにどのような状態にあるのかを知るということが大事なんですね。

現状、非営利活動法人の中には、脆弱な財政や慢性的な人材不足など組織体制の維持と事業の円滑な推進が困難な状況にある組織が少なくありません。
それぞれの非営利活動法人がそれぞれ社会に求められる役割・機能を果していくためには、事業を的確に実施し、団体として効果的かつ効率的に運営していくために組織を強化していく必要があります。

そのためにはまず、いかに団体としての信頼性を高めていくのか、ということが重要であることは間違いないでしょう。

何度も言いますが、「組織評価」をしていくということは、自分たちの団体の現状の立ち位置を把握し、目的の再確認する一方で、足りていない部分を客観的に知ることです。

その繰り返しによってしか、組織は洗練もされず、また大きくもならないと思うので、常にそういった視点と意識を持って運営していけることが、優れた団体になる近道なんですね。
つまり「急がば回れ」というやつです。