https://gendai.ismedia.jp/articles/-/60028
この記事で語られる話は正直全然知らなかったので驚きました。ようするに今や物凄い勢いで下がっている人口減少によって、社会は非常に苦しい人手不足に陥っているのですが、そもそもこれまで二度も日本は、政策によって人口減少を誘導したことがあるというのです。
一度目は、太平洋戦争が終わり、第一次ベビーブームが巻き起こってからの数年後、当時日本を占領していたGHQが、人口が増えることによる食糧不足が原因で日本が再び軍国化することを恐れて、産児制限を誘導し、中絶ブームを引き起こしたそうです。これにより、ベビーブームは1950年でピタリと止まりました。
二度目は、第一次ベビーブームで生まれた人たちが成人し、彼らが子どもを産み始めて巻き起こった第二次ベビーブームの最中に、世界的な人口爆発を受けてアジアの優等生をアピールしようと日本人口会議において、「日本が率先して人口抑制しなければいけない」と「子どもは二人まで」というスローガンが叫ばれたそうです。メディアがそれを大体的に報じ、それを境に人口は減少の一途を辿るようになりました。
「たられば」ですが、これらのことがなければ、人口分布は今とは違った形になっていたかもしれません。
もちろん要因はこれらの政策だけにすぎず様々で、また今となってはこのとき声高に「人口減少」を叫んだ人たちを非難するのも結果論に過ぎないとは思います。しかしなぜこうなったのかを皆で議論するためにも、こういう情報を発信してもらえるのは非常にありがたいです。
ただ記事の後半で、人口減少をもっとプラスに受けとった方がいいという内容が書かれていましたが、これについてはそれをそのまま受け取ることは出来ないと思いました。
人口減少をプラスに受け取るためには、まず国そのものの政策や人々の意識が、国の規模はこれからダウンサイジングしていくのだという方向性をしっかりと認識しなければいけません。人が減り、消滅するコミュニティが増え、また供給されるサービスの低下を皆が受け入れることが前提じゃないと、人口減少に伴う人手不足を積極的に受け入れることはみんな出来ないと思います。
ようするに今のままじゃ、中途半端極まりないんですよね。今までのように経済大国でありたいのなら、ハッキリ言って今となっては移民をより積極的に受け入れるしかありません。女性に何とか働いてもらおうとしても、保育園の確保すらままならない状況ですし、ますます社会において一人一人の役割が大きくなりすぎて、精神的にパンクしていくばかりです。
移民のことを口に出せば、選挙に負ける。国の規模を小さくしていこうと言えば、今度は経済界から反対される。かといって、女性の活躍も、働き方改革も、結局は働き手の負担を増やしているだけでうまくいっていない。
まさに八方ふさがりの状況なのですが、だからこそ、まずは実際に人手不足に直面して追い詰められている人々にすべてをおっかぶせてしまうのではなく、経営者や政治家、それにすでにリタイアして人手不足を実感としてあまり把握をしていない人々も含めて議論をし、弱い立場の誰かに何かを押し付けるような形をとらないようにするためにはどうすることが一番良いのかを考えるべきだと思います。
確かにAI化によって、多少は仕事の効率化は図れるかもしれません。ただあくまでこれは希望的観測に過ぎず、いくらAIが発達しても人の手でやらなければいけない仕事が多くあることも事実です。またAI化をするにも時間がかかり、あくまで問題は人手不足が想像していた以上に急激にきていることにあるんですよね。
人口問題による人手不足は、国民みんなの問題です。それは偉かろうか、リタイアしてようが、また就業してなかろうが関係ありません。決して他人事にせず、どうすればみんなが納得できるような持続可能な社会になれるのかを考える必要があります。
すでにスーパーや大手ビデオレンタル店などでは、セルフレジが導入され、数が少なくなった店員がてんやわんやの対応をしているところをよく見ます。消費者はそんな彼、彼女に怒るのではなく、寛容な心を持つべきだと思います。ハッキリ言って、今までがサービス過多であっただけの話ですからね。せめてまずはそうやって自分の目の前で、人が減っているということ、従業員がつらい立場に立たされているのだということを社会全体で理解することから始めていけたらと思います。