コロナ禍で動く若者を叩くのではなく、労ってみよう。

なぜ若者は悪者にされるのか? 背景には「格差」も #健康警察

コロナの感染拡大において、一般的に若者が広めているという印象が持たれていますが、それが本当なのかどうかを検証している記事でした。

実際に若い二十代、三十代が活動的であることは事実のようです。かかっても基本的に命に関わることではないという意識と、様々な対人関係があるがゆえにどうしても動き回る機会が多くなっているそうです。
でも動き回っているという事実だけに捉われて、=若者が悪いと決めつけるのは、確かにおかしいですね。

記事によると、テレワークに対しては若者の方が中高年よりもずっと導入に前向きだそうです。ただ若者の方が積極的にテレワーク導入を受け入れても、実際に若者の方が外に出る活動量が大きくなってしまうのには、若者ゆえの理由があるんですよね。

記事でも触れられていますが、まずそもそも仕事のうちでテレワークで出来るものと、そうじゃないものがあります。何かを管理したり、システムや文書を作る仕事なら、テレワークで充分ですが、誰かと会ったり、何かを対面で売ったりする、いわゆるエッセンシャルワーカーはそもそもテレワークなど出来ません。
これは格差の問題でもあるんですが、そもそも低賃金での雇用が多いエッセンシャルワークには、若い人や女性が就いていることが多いんですよね。当然エッセンシャルワーカーの方が感染リスクはそれだけ高くなってしまうわけで、そうした人たちのある程度が感染してしまうのは、社会を動かしている中で仕方がないことなのです。
さらにテレワークが出来る業種でも、一様ではありません。大抵の場合、中高年の方が管理をする側であることが多いので、彼らの仕事の多くはテレワークで成り立つことが多いです。でも若者は下働きをさせられることがどうしても多いので何かと出歩かざるを得ないシーンが増えてしまいます。

確かに若者が活動していることは確かです。でも若者のすべてが飲み歩いているわけではなく、むしろその多くは社会を動かすために動いているのですよね。高齢者がコロナに罹らないために巣篭もり出来るのは、たくさんの若い人たちが動き回っているからなんです。
「若者が」って簡単に一括りしちゃダメなんですよね。若者にも色んな人がいますし、色んな理由があります。もちろん一方で中高年の中にも飲み歩く人もいれば、エッセンシャルワーカーで働く人、厳しく自粛する人と色々います。そこには多少の割合の違いこそありますが、その事実に目を向けずに特定の属性を一括りにして非難することには何の意味もないんですよね。

誰かを非難したいくらいにストレスが溜まっていることはわかります。でもそれはみんなもそうだし、こういう状態だからこそ、自分の立ち位置からだけ無責任に言葉を言い放つのではなく、自分とは違う立場の人たちのことを知って、思いやることが大事なんです。
病気も怖いのですが、もっと怖いのは他人を信じられなくなる心が増殖し、社会分断が見えないところで進むことです。

わたしは病院で働いていて、色々とデータも扱っていますけれど、特定の属性の人が特別にコロナに多くかかっているということはありません。
もちろん時期的に富裕層が多い時期や、若者が多い時期、高齢者が多い時期というのはありましたけれど、基本的にウイルスは人を選ばないんです。
少しずつワクチン接種が始まっています。
皆が出歩ける日を想像しながら、一人一人が誰かを攻撃する前に、誰かの苦労を分かる努力をしてみましょう。
そうしたら、全然違うアフターコロナになるかもしれませんよ。

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