企業のCSR活動を分かりやすくまとめて情報開示をしているのがCSRレポートです。CSRレポートとは、一言で言うとその企業のCSRに対する基本的な考え方から具体的な取り組みリ組内容と成果までを盛り込んだ資料になります。その目的は、ステークホルダーとの対話のための情報発信と、自社のCSR活動の自己チェックということになりますが、CSRレポートを作成するためには自社のCSRの実績や成果を適切に開示する把握する必要があります。そのプロセスの指標となっているのが、社会からの要請を取り入れた「報告ガイドライン」です。
「報告ガイドライン」の中で世界で最も活用され、基準となっているのが国際NGO、GRIによる「GRIスタンダード」です。
GRIスタンダードは基礎、一般開示事項、マネジメント手法の三つで構成された共通スタンダードと、それぞれ「経済」、「環境」、「社会」の項目別のスタンダードに分かれており、項目別のスタンダードには合計で33ファイルあります。すべての組織がすべてのスタンダードを開示することは求められておらず、それぞれの企業でマテリアル(重要)な開示のみでよいとされています。
項目内容を見ても分かるように、GRIスタンダードで求められている開示内容は、いわゆるトリプルボトムラインと呼ばれる「経済」「環境」「社会」の三つになります。最近のCSRレポートにおける世界の大きな流れとしては、「環境」「社会」「ガバナンス」のそれぞれ頭文字をとったESG(非財務)情報と財務情報とをどう統合させるかが課題になっています。
これは本来CSRは経営に深く関わるべきであるにも関わらず、現実には経営に統合されることもなく、CSRとは単に報告書のスタイルの問題として捉えられていることが多いことに起因しています。
重要なのは、報告書の形の上だけで一体化することではなく、CSRを重要な要素として経営に組み込んで統合することです。CSRレポートはそのための大事なプロセスであるのです。
せっかくCSRレポート(ESG情報)と経営(財務情報)を掛け合わせた統合報告書を開示したといっても、まだまだ従来の財務報告書にサステナビリティ報告のページをとってつけた程度のものが数多くみられるのは残念な点です。
日本では2015年現在で、上場企業の69.4%、非上場企業の25.5%、全体で39.6%が環境報告書かCSRレポートを発行しています。
この数字は今後もますます上がって行くことと思いますが、形だけではなく、それをより経営に活かしていくような企業が増えていくといいですね。