SRI投資とは投資家が投資の社会的役割を考え、企業の社会課題への取り組みを評価して投資銘柄の選択ををする投資です。元々は1920年代アメリカでの、ギャンブル、武器、酒、タバコなどに関連する企業を投資対象から外すネガティブ・スクリーニングから始まりましたが、今では企業の良い面を評価するポジティブ・スクリーニングの手法も広まっています。そのほか、株主運動やコミュニティ投資などもSRI投資の範疇に入ってきていると言われ、現在では広く企業の社会的責任を考慮して行う投資と捉えられています。
一方でESG投資の概念は、2006年に国連責任投資原則(PRI)が出来て以来広まりました。PRIは、国連環境計画・金融イニシアチブと国連グローバル・コンパクトが世界の年金基金や機関投資家などと連携して、投資分析と意思決定で環境・社会・ガバナンス(ESG)を考慮するESG投資を広げる取り組みです。より広く、通常の投資でESGを考慮することを目指しています。
ちなみに国連責任投資原則(PRI)の6原則は以下のようになっています。
1.私たちは投資分析と意志決定のプロセスにESGの課題を組み込みます。
2.私たちは活動的な(株式)所有者になり、(株式の)所有方針と(株式の)所有慣習にESG問題を組み入れます。
3.私たちは、投資対象の主体に対してESGの課題について適切な開示を求めます。
4.私たちは、資産運用業界において本原則が受け入れられ、実行に移されるように働きかけを行います。
5.私たちは、本原則を実行する際の効果を高めるために、協働します。
6.私たちは、本原則の実行に関する活動状況や進捗状況に関して報告します。
さて、SRI投資とESG投資がどう違うのかという話に戻りますが、基本的には同じだとは言えます。ただSRI投資が企業の倫理的側面に重点を置いて行う投資であるのに対し、ESG投資は企業の非財務情報の開示を受けて、リスク要因とリターン要因を分析・評価して行う投資であると言えます。現在では、企業にとって最大の課題がESGであり、これを反映してESG投資という言葉が多く使われるようになってきているようですね。
ちなみに2016年現在で、ESG投資への流れは、欧州ではすでに53%、アメリカでは22%に達していますが、日本ではまだ3%強にとどまっているそうです。
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)のPRI署名以来、ESG投資が主流化する可能性が見えているとはいえ、まだまだ時間はかかりそうです。
個人的には、まずESG投資が当たり前の風潮になっていくことこそが、社会を少しでも良くするための第一歩だと思っているので、ぜひともこの数字が少しずつでも上がっていかないかと願ってやみません。