「資本主義の終わりか、人間の終焉か? 未来への大分岐」
マルクス・ガブリエル、マイケル・ハート、ポール・メイソン
斎藤幸平編
資本主義が行き詰まり、格差が広がり、環境が悪化。そこにAIの脅威と悪い方ばかりに激変している現代社会に対して、世界で注目される三人のインタビューを載せた新書です。
今、何が実際に起きつつあるのか、そしてわたしたちがどうすればいいのかをそれぞれがそれぞれの言葉で教えてくれます。新書なので、語り手たちの思想が分かりやすくギュッと詰まっており、とても面白いです。
第一部のマイケル・ハートは、2000年ごろに世界で話題になった「帝国」の共同執筆者ですが、若干理想論には聞こえるものの、彼の公共物をコモンと考え、皆で管理するという考え方はとても好きです。確かに実現が可能ならば、そうなればいいなと思わせます。
第二部のマルクス・ガブリエルの新実在論はとても勉強になりました。確かにポスト・モダニズムが行き過ぎて、現代の相対主義が生まれたという話には納得。フェイクニュースがはびこり、それを権力者が堂々と利用している今の世界を見ると、とにかくそこの部分の管理が必要だというのはわかります。
第三部のポール・メイソンの話は、現実問題としてAIの脅威をどうすればいいのかをとても考えされます。確かに、巨大IT企業が勝手にビックデータを切り売りしている姿を見ると、何かそれはちょっと違うんじゃないかと思ってしまいますよね。規制をするには、本当に今しかないんですけれどね。
現代の問題を、しっかりと把握したい、問題意識を持ちたいという人には、わかりやすいのでお勧めの一冊ですね。