「「自分の子どもが殺されても同じことが言えるのか」と叫ぶ人に訊きたい」
著 森達也
だいぶ前に読んだ本なんですけれども、思うところあってもう一度読んでみました。
改めて思うんですけれど、何か森さんの本を読むと何かちょっとホッとします。世の中には、こんなにも悩んでいる人がいて、その悩んでいるまんまの姿を見せている人がいるんだって。色々と不穏なニュースを観て、自分の良心がぐらついた時に森さんの本を読むと、ちょっと精神的に安心するんですよね。
この本のテーマは、共同幻想についてです。
何か、森さんって、右寄りの人からはかなり左寄りに見られているフシがあるんですけれど、ようするにこの人って、決して単なる左寄りの人っていうわけじゃなく、共同幻想的なものが嫌で嫌でたまらくて、そういうものに絶えず疑問に思っている人なんですよね。
共同幻想。本を読んだ後だと、確かに自分もそうしたものに流されているような時があるかもと怖くなります。
ようするに、実は間違っていたとしても、みんなが正しいって言っているから、その同調圧力的なものに負ける、それが正しいと思ってしまう。そのうちに何も考えずに、それが当たり前のことだと思ってしまうという考えです。
まあ、太平洋戦争時の日本を想起すればイメージしやすいのですが、その感覚って、未だにあるんですよね、確かに、この国には。
つい最近の日韓の対立時に起きた嫌韓国的な雰囲気を見てもね。たぶん、みんな、そこまで詳しく韓国のことを知らなくても、韓国ムカつくになっちゃう。
これは、本当に怖い話なんですよね。
少し前の本ですが、何か昨今の日本人の感覚に疑問を思った時に読むと、自分の感覚を少し正常に戻してくれる、そんな本です。
しかし、森さんは本当に勇気があるなぁ。