「ミンツバーグマネージャー論」
著 ヘンリー・ミンツバーグ
もともとミンツバーグの他の本でコミュニティシップという言葉を知って、それをもう少し詳しく知りたいなと思った本でした。
コミュニティシップとは、カリスマ的なリーダーシップでもなく、何でも平等なシチズンシップでもない、リーダーはみんなを上手く動かす力ことを一番に考えれば組織運営はうまく行くという考え方です。
この本を読んでまずわかるのは、マネージャー業務をいかにうまくやるかには、簡単な答えがないということです。
つまり、昨今色々なビジネス書などで、こうやれば的なハウツーものがよくありますが、マネージャーの仕事はそんな定型には収まらないという事実をつきつけているというわけです。これには納得です。いかにカリスマになるかとか、いかに人を動かすか、などといった話がいろんなところで溢れていますが、カリスマになるのも、人を動かすのもそんな簡単な話であるはずがありません。日々の観察と努力、それにある程度明晰な頭脳と人のことを考える人間性、ひいてはそれらを自分自身で鍛えることが必要なんです。
そんな中でも、この本ではうまく業務をこなしているマネージャーがどんなことを考え、何をしているのかを具体的に記しながら、自分自身がどう振る舞えばいいのか、そのヒントを与えてくれます。
マネージャーの仕事には正解はありません。その組織の規模や置かれた地位、それにどんな部下がいるのかによって、全然アプローチの仕方も変わってきます。
そんな中で、大事なのは自分がヒーローになることではなく、あくまで他の人たちが力を出せるように、その環境を整えること。
地味に見えまずが、間違いなくそれがリーダーと呼ばれる人にとって、一番必要なことなんですよね。そして、そうしたリーダーのもとで働ける人たちはとても幸せです。
マネジャーという立場につき、悩んでいる人にはぜひ読んでもらいたい本です。