今年の就職活動の変化から見えてくる中高年の危機

「新卒で専門職」採用に急激に傾く企業のホンネ今までどおりでは20代若手の採用は厳しくなる

急速に時代が動いていることを感じさせますね。来年に向けての就職活動が始まったという記事なのですが、企業にも学生にも変化が起きているそうです。

具体的にはこれまで新卒一括採用の場合、企業も学生も総合職(幹部候補、様々な仕事を経験させた上で、適性のある人間が幹部にされる)を前提に話を進めてきたことに対し、今はその割合がグッと減って専門職が求め、求められているそうです。

企業側としては、ITなどどんどんと専門性が求められる一方で社内にそれに対応出来る人間がいない。中途で求めてもそういった人材はあまりおらず、いても高額な賃金を支払わなければいけないので、それなら安く育てた方がいいという発想になっているそうです。

一方で学生側としては、総合職で入社して、向いていない仕事をやらされることを敬遠したいという人が増えているとか。

それはそうですよね、希望は言えても基本的に企業は組織の都合で人を動かします。運よくその人にあった仕事に出会い、それが長く出来ればいいのですが、その逆の場合は目も当てられません。それならば、いっそ最初から自分に合っていると思われる仕事を選んで、その専門性を高めていくという選択をした方が生きやすいと判断するのは無理もない話です。

企業と学生の双方でニーズが重なっているので、今後新卒採用でもジョブ型採用が加速していくことは間違いないでしょう。時代の流れと言われればそれまででしょうが、今後はそうした今のビジネスに合った高い専門性を持った人たちが高収入になっていくのだと思います。

個人的には誰にでもゼネラリストとして育てていくやり方には疑問を持っていたし、ジョブ型採用に切り替えた方が賃金そのものの底上げに繋がるとは思うので、終身雇用の枠組みを維持することを前提にしてならこうした流れは歓迎するべき話だと思います。

ただジョブ型雇用にも問題がないわけではありません。まず専門性を教育されたものと、そうじゃない人とで大きな格差が生まれます。どうしてもそもそも資本がある家に生まれた方が有利になるんですね。

また最初に得た専門性が時代が経つにつれて古くなったり、もっと悪ければその専門性そのものが必要なくなる可能性が出てきます。これはある程度は未来を見通す眼力が必要ですが、基本的には運だと思います。

どうしてもこうしたジョブ型雇用だと、時代の変化とともに潰しがきかなくなり社会で居場所がなくなっていく可能性が嫌でもあるんですよね。

「そんな未来の話なんてわからないよ。それにどうせそれは若者の話だろう?」

ととにかくこの手の話には自分は関係ないと思い込みたがる中高年も多いでしょう。

でもこの話の本当の問題は、若い人に対する話かと思いきや、実はこうした時代の変化によって煽りを受けるのは、若者よりもむしろ中高年のほうかもしれないという点なんですよね。

これまで企業は高い専門性よりも広く浅い経験を社員たち積ませてきました。順調に幹部になれた人はまだいいです。でもなれなかった人の大半は残念ながら中途半端な人材のままです。

次から次へとやってくる若者たちが高い専門性を得て成長いけば、こうした人材は歯が立ちません。生き残っていくためには、これまで広く浅くだった中高年の人たちも何らかの専門性を持っていく必要があるということになっていきます。

もう定年が見えている人はまだ逃げ切れるかもしれません。でもまだ10年20年働かなければならず、しかもローンや子どもの学費などそれ相応にお金がこれからもかかってくる人は、経営陣に入れなかった時点で、割り切って何か絶対的な専門性を身につけていかざるを得なくなってくるでしょう。40代50代からの勉強は大変です。でもそうやって自分を変えていかなければ生き残っていけない時代がすぐそこにまでやってきているんです。

終身雇用はどうにかまだ生き延びていますが、年功序列や男性優位の時代は間違いなく近いうちになくなっていきます。

会社に入ったらどうにかのんべんだらりとやっていけた時代はもう終わってしまいました。逆に言えば、あとはいかに割り切って自分らしくやれるか、です。

もしかしたらそうやって自分の新しい可能性を探った方が、グダグタと窓際にしがみつくよりもずっと充実した未来がやってくるかもしれませんよ。

若者だけではなく、中高年も今何をするかで確実に未来が変わってきます。良くも悪くもなかなかすごい時代になってきているようです。

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