「太陽系時代の終わり」
著 六角光汰
なかなか読み応えのある話でした。面白かったです。
ハードSFではあるんですが、この手の話は、好きな人はどんどんと読み進めちゃいますね。
単純にその世界観を楽しむことが出来ました。
わたし好みの作品です。
何だか読んでいくうちに、いい意味でこれまで読んだSF小説を思い出したので、そういう意味でも楽しかったですね。
レスター少年は、わたしの好きな「時間封鎖」シリーズの第二作、三作に出て来るアイザック少年を想起させますし、二次元の類の話は三体シリーズの第三作を思い出させました(第三作が翻訳されるずっと前に出版されている本なので、ある意味凄いです!)。
著者のしっかりとした知識の元に書かれている作品なので、一見荒唐無稽に見える話でも、何だかとてもリアリティがあるんですよね。
話がとても壮大で、単純に科学の話に終始するのではなく、政治や人類哲学の話なども盛り込まれているので、重厚に感じました。
読み終わった後、一番最初に思ったのは、「続編が見たい」というセリフです。
続編出てないんですけれどもね、あまりに話が壮大なので、いくらでも続きが作れそうです。
話単体としては、若干主人公であるフィリップが狂言回しになってしまっていて、レスター少年の力を持って話の多くがまとめられている点が物語の勢いを殺してしまっていたので、やや気がかりではありましたが、まあ、これもここから続編が続いて、これからのレスター少年の伏線だと考えれば納得なんですよね。
これだけ前振りというか、伏線がありまくっているので、続編を作って、シリーズとして育ててほしい作品だと思います。
それだけ壮大で、逆に言えば、続編がないことで、勿体ないなと思わせる作品でした。