「GANTZ」
著 奥浩哉
いやあ、これは面白かった。
最初は、主人公にどうにも感情移入が出来ず、どうしたものかなと思ったんですけど、主人公が劇的に変わっていくことの伏線だったんですね。
最初と最後でこれだけ印象が変わる主人公というのは珍しいです。
それにしてもまずこの作品は、アイデアが秀逸です。
死んだと思いきや、わけのわからない部屋にいて、わけのわからない戦いを強いられる。
そのわけのわからなさ加減が、読者を引っ張る推進力になっているんですよね。
しかもわけのわからないまま終わらせずに、キッチリと話をまとめた点においても、秀作だと思います。
物語を面白くしているのは、GANTZが絶妙に主人公たちに足枷をはめている点。
この不条理なルールが物語を不可思議なものにさせる一方で、緊迫感を与えているんですよね。またジャンプ系特有の生き返るシステムを理由をつけてうまく使っている点も物語にダイナミズムを与えています。
通常、話の流れ的に死なないと思っていた人物が死んだり、生き返らせることに条件があり、倫理観を揺さぶってきたりと、絶えず読者の気持ちを引っ張り込んできます。
個人的には、主人公の玄野がタエちゃんへの自分の気持ちを知ることで変わっていく様が良かったです。
ビジュアル的には、レイカや岸本の方がヒロインっぽいのですが、素朴なタエちゃんをヒロインに据え続けている点に好感が持てましたし、そしてそこにこそ、この漫画のテーマがあるのではと勘繰ってしまいました。
それにしても、CGを使っているようですが、画力が凄まじいです。
漫画そのものが画集じゃないかと錯覚を覚えるほどです。
CGも使い方によっては、かなり効果的ですね。