「会長島耕作
著 弘兼憲史
島耕作がついに会長になりましたね。
この一連の物語でよいところは、島耕作が出世していくにあたって、その時々の役職の人がどのような仕事をしているのか、想像することが出来ることです。
まあ、普通に生きていたら課長か、せいぜい部長ぐらいの人が何をやっているのかは想像出来ますが、その先となると偉そうにしているぐらいしかわかりません。
それが会長なんて存在になると、まったく想像外の話になってしまうわけです。
そして会長は何する人ぞという感じで読み進めたのですが、驚いたのは会長ともなると、自社のことというよりは、日本全体を見据えて情報を集めているという点です。
もちろん、テコットという日本有数の大企業の会長だからこその行動なのでしょうか、会長となり、経団連や経済同友会などに入会すると、こういう働きをするんだなと思いました。
経団連と経済同友会の違いとか、漠然としかしらなかったので、この辺りは読んでいて単純に勉強になりましたね。
漁業の話とか農業の話もためになりました。
相変らずのすごい取材力です。
防衛面においてだけ、やたらと自民党のプロパガンダみたいな内容になっていた点だけは気になりましたが、まあ、そこも表現の自由であるので。
中国の動きについても、概ねは正しい部分が多いでしょうしね。
ラストで、若い女性に社長職を譲ったのは今の潮流にもあっていていいなと思いました。
それにしても、島耕作もさすがに老けましたね。