「ウィーンに六段の調―――戸田極子とブラームス」
著 萩谷由喜子
単純に全然知らない歴史だったので面白かったです。
岩倉具視の娘である戸田極子とブラームスが繋がるなんて考えたこともありませんでした。
それにしても岩倉具視の娘として幕末には大変な思いをし、明治維新後は鹿鳴館の華として活躍し、さらには夫の仕事についていった形とはいえ、そこでブラームスの前で箏(琴)を弾いて、日本とオーストリアの音楽における架け橋になっているなんて、戸田極子を主人公に朝ドラを作れそうなくらいドラマチックな人生ですね。
個人的には極子の話だけでなく、夫戸田氏共をはじめとする大垣藩の話や、森有礼に嫁いだ妹寛子の話なども面白かったし、その他に当時活躍していた日本人や外国人も色々と説明されていたので非常に興味が尽きない本でした。
音楽の話なのかと少し身構えていましたが、歴史の話として十分の楽しめる本でした。
主流じゃないところにこそ、歴史があるというのが良く伝わってきましたし、当時の上流階級の空気感というか文化がどういうものであったのかを肌感覚で知ることが出来ました。
明治の話って、語られていそうであまり語られていないので非常に貴重なんですよね。
それにしても、極子の周りの人、非常に夭折する人が多いですね。
これは彼女の周りが特別そうだったのではなく、そういう時代だったんですね。
たぶん、死生観とかも現在とは全然違ったんでしょうね。