「利通暗殺 凶刃に斃れた日本リーダー”」
著 遠矢浩規
明治維新の立役者であり、維新後の明治政府を引っ張った大久保利通が暗殺された紀尾井町事件を克明に描いた本です。
もはや日本史に詳しい人にしか知らない事件で、歴史に埋もれてしまっていると言っても過言でないのですが、個人的には、大久保利通がここで亡くなったことは、その後の日本史にとっての分水嶺になったと考えているので、非常に興味深く読むことが出来ました。
なぜ石川県の士族が大久保を暗殺する必要があったのか、当時の世相や暗殺犯たちの背景を丹念に調べて書いてあるのでよく分かりましたね。
正直、大久保利通はもっと世間的に評価されるべきだと思っているので、暗殺犯たちに感情移入はほとんど出来きず、むしろ読んでいてこれほどまでに国中から嫌われていて、いつ殺されてもわからないというのに、あえて嫌われ役を買って出てどうにか国を立て直そうとしていた大久保に改めて感服してしまいました。
それと西南戦争において西郷の首を発見した官軍の兵士、千田登文の竹馬の友が、奇しくも大久保暗殺の主犯であった島田一郎であったことはよく知られた話ですが、暗殺犯の一人、杉村文一の兄である杉村虎一が明治法律学校(のちの明治大学)の創設に関わった人だという話には驚きましたね。
ちなみにわたしは、生まれたときに住んでいたのが、大久保利通の墓がある青山霊園の近くで、三才から青年期まで大久保利通の高輪別邸があった場所のすぐ近くに住んでおり、また通った高校は大久保利通本邸の目と鼻の先の場所にありました。
不思議と何かと大久保利通とは縁があるんですよね。
見守られていたのかな。
清水谷も改めて行ってみたいと思いましたね。