「現代語縮訳 特命全権大使 米欧回覧実記」
編著 久米邦武
岩倉使節団を記録するために使節団に付き従った久米邦武の実記ですね。
歴史的な価値が非常に高い実記で、これだけを読んでも、岩倉使節団が西欧を見たことが後の日本にとっていかに重要であったのかがわかりますし、また色々とトラブルはあったものの、使節団がただ西欧の文化を礼賛して受け入れたわけではなく、それぞれの国を比較しながら、何を受け入れることが日本にとって最良なのかをとてもよく考えていたということがわかります。
この時点で、西欧社会の限界を見抜き、列強同士がぶつかっていくことを見抜いている久米の慧眼には敬服いたします。
しかしこの久米という人、確かに明治の人らしく儒者としての癖がかなり強い人ですが、この時代にあって、これほどの知識を持っているというのは本当にすごいです。
単純に儒学や漢学だけでなく、西欧の歴史や理科系等の知識まで、様々なことを詳細に書いているのだから、びっくりです。
この時代、それぞれの資料を集めるだけでも恐ろしく大変なのに、本当に頭が極めていい上に恐ろしいほどの努力家なんでしょうね。
それにしても百巻にもわたる大作をこれだけコンパクトに、しかも現代語訳にして出版してもらっているのは非常にありがたいです。
それだけ価値がある本だといういうことでしょうね。
読みやすくなっている故に、どんどんと読んでほしい本です。
日本がいかなる道を歩んできたのか、その最初が極めて濃密に描かれていますからね。