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弦巻 星之介

「万引き家族」

「万引き家族」 2018年/日本 いやあ、とてもよかったです。そしてとても考えさせられる映画でした。 もともと是枝裕和監督の映画は大好きなのですが、期待に裏切らない素晴らしい映画です。 ドキュメンタリー出身の監督らしく、社会のリアルをうまくドラマに仕立て上げていると思います。 確かに万引きした家族があり、その家族は実は、、、という設定はありえないようにも見えますが、実際にその一人一人の家族の裏にあ […]

「三体Ⅱ 黒暗森林」 著 劉慈欣

「三体Ⅱ 黒暗森林」  著 劉慈欣 単純に読み物としてとても面白かったです。どんどん読み進めることが出来ました。天文学や物理学の知識がふんだんに使われていますが、物語そのものが分かりやすく、しっかりと編み込まれているので理系の人じゃなくても十分に楽しめる本だと思います。 あとがきにも書いてありますが、この作者のいいところは、二項対立をわかりやすく提示し、それを物語の中でうまく使っていくところです。 […]

「パラサイト 半地下の家族」

「パラサイト 半地下の家族」 2020年/韓国 単純にストーリーとしては面白い作品だと思いました。韓国映画っぽさにアメリカのエンタメの論理がうまくブレンドされたような感じで、最初から映画に入りやすく、また最後まで食い入るように観ることが出来る作品だと思います。 特にストーリーの下地となっているシチュエーションの作り方が絶妙で、韓国独特の半地下や核シェルターのある豪邸、そして異常なほどの格差という社 […]

「ある一生」 著 ローベルト・ゼーターラー

「ある一生」  著 ローベルト・ゼーターラー 久しぶりに文学を読んだな、っていう気持ちにさせてくれた小説でした。 内容そのものは、あまりに平凡な男の人生を追っているだけの淡々とした物語なのですが、それが妙に引きつけられ、まるで我がごとのような気持になって、彼の人生を追ってしまうんですよね。 この小説を読んでいて、絶えず意識させられるのは時間です。 そもそも一人の人間の一生をテーマにしているのだから […]

「大分断 教育がもたらす新たな階級化社会」 著 エマニュエル・トッド

「大分断 教育がもたらす新たな階級化社会」  著 エマニュエル・トッド とても興味深い本でした。本の副題通りに教育が新たな階級化社会を生み出してしまっているということを主張している本なのですが、その通りだと思います。 ほとんどの国のエリート校には、莫大な投資とそれなりの文化資本がなければそもそも入学できず、そしてエリート校を卒業した人々が政治経済の中枢を牛耳っている。つまり既得権益を持つ人間たちの […]

「勝手にしやがれ」

「勝手にしやがれ」 1960年/フランス 言わずと知れたヌーヴェルヴァーグの記念碑的作品であり、フランソワ・トリュフォーが原案、クロード・シャブロルが監修、ジャン=リュック・ゴダールが監督・脚本を務めた作品です。ゴダールにとっては初の長編映画ですね。 この映画の不思議なところは、映画を観ているという感覚よりも、どちらかというと純文学の小説を読んでいるような感覚に陥るという点です。 まあ、作家の個性 […]

「ほとんど想像すらされない奇妙な生き物たちの記録」 著 カスパー・ヘンダーソン

「ほとんど想像すらされない奇妙な生き物たちの記録」  著 カスパー・ヘンダーソン 21世紀の幻獣辞典との触れ込みに惹かれて読んだ本ですがとても興味深い本でした。 そもそも幻獣とはまだ生物学が発展しておらず、移動距離もたがが知られていたために、現実と想像とがゴッチャになっている中世において生まれた生物たちのことを言います。分かりやすい例をあげればペガサスとかユニコーンなどと言えば、理解出来ますね。 […]

「東京の下層社会」 著 紀田順一郎

「東京の下層社会」  著 紀田順一郎 現代の人にとって明治時代と言えば、明治維新から始まり文明開化が進む明るい印象があるかもしれません。 「はいからさんが通る」とか「るろうに剣心」などといった明治時代を扱った漫画作品などにより、どちらかというと新しいことに向かっていくような明るいイメージを持つ人も多いでしょう。 この本はそんな現代人にとって、明治時代とはそんな時代じゃないということをこれでもかとい […]

「バック・トゥ・ザ・フューチャーPARTⅢ」

「バック・トゥ・ザ・フューチャーPARTⅢ」 1990年/アメリカ 言わずと知れた人気シリーズの最終編です。 PARTⅡでこれみよがしに終わらされ、焦らされた挙句にようやく公開された作品ですが、待望された割には、興行的にはアメリカでも日本でもそれなりにヒットはしたものの、期待していたほどではなかったようです。 興行的にイマイチ伸び悩んだ理由としては個人的には大きく三つ考えられると思います。 ①まず […]

「バック・トゥ・ザ・フューチャーPARTⅡ」

「バック・トゥ・ザ・フューチャーPARTⅡ」 1989年/アメリカ 人気シリーズの第二作であり、ある意味でシリーズの中で一番「バック・トゥ・ザ・フューチャー」らしさを出している作品だと思います。 興味深いのは、このPARTⅡという作品は、PARTⅢという存在ありきで制作されているという点です。 今でこそ、前後編で訳で公開される大長編の映画はチラホラとありますが、このシリーズのPARTⅡとPARTⅢ […]