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弦巻 星之介

「勝手にしやがれ」

「勝手にしやがれ」 1960年/フランス 言わずと知れたヌーヴェルヴァーグの記念碑的作品であり、フランソワ・トリュフォーが原案、クロード・シャブロルが監修、ジャン=リュック・ゴダールが監督・脚本を務めた作品です。ゴダールにとっては初の長編映画ですね。 この映画の不思議なところは、映画を観ているという感覚よりも、どちらかというと純文学の小説を読んでいるような感覚に陥るという点です。 まあ、作家の個性 […]

「ほとんど想像すらされない奇妙な生き物たちの記録」 著 カスパー・ヘンダーソン

「ほとんど想像すらされない奇妙な生き物たちの記録」  著 カスパー・ヘンダーソン 21世紀の幻獣辞典との触れ込みに惹かれて読んだ本ですがとても興味深い本でした。 そもそも幻獣とはまだ生物学が発展しておらず、移動距離もたがが知られていたために、現実と想像とがゴッチャになっている中世において生まれた生物たちのことを言います。分かりやすい例をあげればペガサスとかユニコーンなどと言えば、理解出来ますね。 […]

「東京の下層社会」 著 紀田順一郎

「東京の下層社会」  著 紀田順一郎 現代の人にとって明治時代と言えば、明治維新から始まり文明開化が進む明るい印象があるかもしれません。 「はいからさんが通る」とか「るろうに剣心」などといった明治時代を扱った漫画作品などにより、どちらかというと新しいことに向かっていくような明るいイメージを持つ人も多いでしょう。 この本はそんな現代人にとって、明治時代とはそんな時代じゃないということをこれでもかとい […]

「バック・トゥ・ザ・フューチャーPARTⅢ」

「バック・トゥ・ザ・フューチャーPARTⅢ」 1990年/アメリカ 言わずと知れた人気シリーズの最終編です。 PARTⅡでこれみよがしに終わらされ、焦らされた挙句にようやく公開された作品ですが、待望された割には、興行的にはアメリカでも日本でもそれなりにヒットはしたものの、期待していたほどではなかったようです。 興行的にイマイチ伸び悩んだ理由としては個人的には大きく三つ考えられると思います。 ①まず […]

「バック・トゥ・ザ・フューチャーPARTⅡ」

「バック・トゥ・ザ・フューチャーPARTⅡ」 1989年/アメリカ 人気シリーズの第二作であり、ある意味でシリーズの中で一番「バック・トゥ・ザ・フューチャー」らしさを出している作品だと思います。 興味深いのは、このPARTⅡという作品は、PARTⅢという存在ありきで制作されているという点です。 今でこそ、前後編で訳で公開される大長編の映画はチラホラとありますが、このシリーズのPARTⅡとPARTⅢ […]

「バック・トゥ・ザ・フューチャー」

「バック・トゥ・ザ・フューチャー」 1985年/アメリカ この映画を子どもの時に観てから映画が好きになったので、わたしにとってはとても思い出深い作品です。 もう何度も観ていますが、今一度観直してみました。 やはり面白いですね。シナリオ的に言えば、タイムトラベルに関する矛盾はあるものの、筋としてはほぼ完璧というか、無駄がまったくありません。ダイアローグにしても、そのすべてが緻密に計算し尽くされていま […]

「悪の脳科学」 著 中野信子

「悪の脳科学」  著 中野信子 藤子不二雄Aの名作漫画『笑ゥせぇるすまん』。わたしにとっては、子どもの頃にアニメで見て、おなじみの作品です。 あの「ハットリくん」や「怪物くん」を書いた人と同じ人物が、こんなブラックな話を書くとは、と最初に観た時に驚いたことを覚えています。 さて、本書ではこの『笑ゥせぇるすまん』の主人公である喪黒福造に焦点を当て、彼がなぜさまざまな手段を使って人を騙し、破滅に導いて […]

「男らしさの終焉」 著 グレイソン・ペリー

「男らしさの終焉」  著 グレイソン・ペリー ジェンダーの話と言えば、大抵は女性の人が何かを書いていることが多いのですが、この本が特徴的で重要なのが男性が男らしさに対して一石を投じているという点です。作者のグレイソン・ペリーはイギリスでは有名なアーチストで、確かに女装が趣味である点などいわゆる一般的な男性像とはいいにくい部分はあるものの、男性の在り方に大して疑問に思っているん点はおおむね正しいこと […]

「君たちはどう生きるか」 著 吉野源三郎

「君たちはどう生きるか」  著 吉野源三郎 宮﨑駿監督がこの本を題材に映画を作るということで、再び脚光を浴びた名著です。 一言で感想を言えば、もっと早く出会いたかった本でした。高校、大学、せめて二十代のときに出会っていたら、間違いなく人生の一つの指針となった本です。自分の子どもに読ませたい本、堂々の一位ですね。 物語そのものは、とても地味です。いわゆる少年のありふれた日常を描いているのですが、その […]