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厳選名著紹介

「スクールセクハラ なぜ教師のわいせつ犯罪は繰り返されるのか」 著 池谷孝司

「スクールセクハラ なぜ教師のわいせつ犯罪は繰り返されるのか」  著 池谷孝司 今の日本の世の中にとって必要な本とは、こういう本のことをいうのだと思います。 まず教室のわいせつ行為の事例が次々と書かれているのですが、その卑劣な犯行ぶりが実に酷い。ただでさえ、わいせつ行為は卑劣なのですが、それが学校という教育の現場で、教師という強い立場を利用して行われていたという話であるのなら、本当に救いようのない […]

「団地と移民」 著 安田浩一

「団地と移民」 著 安田浩一 一気に読んでしまいました。とても面白かったです。 団地という存在は、個人的にずっと気になっていたんですよね。確かに、わたしの子どもの頃は、まさに「団地ともお」の世界で、わたしは団地には住んでいませんでしたが、団地に住んでいる友達はたくさんいて、彼らのうちに何度となく遊びに行っていました。 あの頃の団地は、ファミリー層ばかりで、そこら中で子どもが遊び回っていました。 し […]

「すべては救済のために デニ・ムクウェゲ自伝」

「すべては救済のために デニ・ムクウェゲ自伝」 著 デニ・ムクウェゲ 2018年のノーベル平和賞を受賞したデニ・ムクウェゲ医師の自伝です。コンゴ民主共和国で戦渦の最中で何万人もの性暴力の被害女性を救ってきた産婦人科医の話なのですが、とても壮絶で、本当にノーベル平和賞とはこういう人にこそふさわしいと素直に思いました。 コンゴ民主共和国で産出される鉱物資源は武装勢力の資金源になっているため、これらの取 […]

「コミュニケーション」 著 大澤真幸

「コミュニケーション」 著 大澤真幸 コミュニケーションとは何たるかを徹底的に理屈で説明した本でした。若干文系には辛い部分もありましたが、普段からコミュニケーションに悩んでいる人にとっては、その正体を出来る限り分かりやすく説明してくれているので、人によっては目から鱗の本かもしれませんね。 前半部分では、お互い以外とはコミュニケーションが全く取れない双子の姉妹を実例に挙げて、様々な角度からコミュニケ […]

「ヒロインズ」 著 ケイト・ザンブレノ

「ヒロインズ」 著 ケイト・ザンブレノ 明らかにこれまで読んだことのないタイプの本でした。ここまで感情が爆発している本はちょっとないですね。 女性であり、マイナーな作家である筆者が、モダニズム全盛期の著名な作家の虐げられた妻たちに想いを寄せ、自分自身の現状と重ね合わせていくという、いわばドキュメンタリーとも私小説ともとれるブログをまとめた本なのですが、この本の場合、読み手で女性であるのか、男性であ […]

「空気の研究」 山本七平著

「空気の研究」 山本七平著 念のため、H2Oではなく、「空気を読む」の空気の研究ですね。 何年か前に東京都の小池知事が口にして、再び脚光を浴びた本でもあります。 作者の山本七平氏は、両親がキリスト教徒であり、生まれた頃からキリスト今日を肌に触れ、その文化を良く知る人であり、また第二次世界大戦時には激戦の地であるフィリピンで戦い抜き生き長らえた経験を持つ人でもあります。 そんな彼だからこそ行き着いた […]

オリエンタリズム エドワード・W・サイード著

「オリエンタリズム」 エドワード・W・サイード著 文芸に対する批評の目を権力に向けた作品で、世界に大きなインパクトを残した作品でもあります。 1978年に出版された本なのですが、西洋が描く東洋の表象には権力の問題が隠されていることを鋭く指摘した最初の本ですね。 平たく言えば、共産主義国家が衰退していく中で、西洋(特にアメリカ)が新たなる敵としてイスラムを描き出していくことを批判しているのですが、こ […]

隷属なき道  ルドガー・ブレグマン著

隷属なき道 ルドガー・ブレグマン著 ベーシックインカムが成り立つことを、様々なデータから裏付けした非常に興味深い本です。 ベーシックインカムという名前自体は、日本でも維新の会などが実現に向けて検討していたので、聞いたことがある程度の人は結構いると思いますが、ようするに福祉を全部なくしてその代りに全国民にまとまったお金を与えるというシステムですね。 ただそのやり方だけを聞くと、働かずに怠ける人が増え […]

排除型社会 後期近代における犯罪・雇用・差異

排除型社会 後期近代における犯罪・雇用・差異 ジョック・ヤング著  なぜ格差が広がり、今に生きる人たちの大部分は、こうも常に何かに急き立てられるかのような不安を感じて生きているのでしょうか? この本は言い知れぬそんな現代人の気持ちを、排除型社会という言葉をキーワードにずばりと説明してくれます。 具体的には、労働市場からの経済的排除、人々の間で起こる社会的排除、そして犯罪予防における排除的活動が、少 […]