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厳選名著紹介

「団地の空間政治学」 著 原武史

「団地の空間政治学」  著 原武史 すでに昭和の匂いしかしない「団地」。 その多くが立て替えられ、そのままの形を残している団地も数を減らしています。 個人的にこの本を読んで思い浮かんだのは、やはり子供の時に近所にあった団地。 友だちが多く住んでいたこともあり、団地内の公園は遊びスポットの一つでした。 あのときは、ただの風景としてしか団地を見ておらず、そこにある社会背景など考えたこともなかったのです […]

「滝山コミューン1974」 著 原武史

「滝山コミューン1974」  著 原武史 戦後、高度成長期に西武線沿線では数多くの大型団地が形成されたんですね。 元々、所沢に近い清瀬や秋津には結核のサナトリウムなどの病院施設が多く、共産党をはじめとする革新勢力が強い地盤だったんです。 そんな地域に作られた団地は、その均質的な空間のせいもあり、自然と革新勢力の思想が当たり前のものとなっていきます。 実際、団地の自治会などの役員は、共産党党員が務め […]

「レッドアローとスターハウス もうひとつの戦後思想史」 著 原武史

「レッドアローとスターハウス もうひとつの戦後思想史」  著 原武史 西武線を背景に東京の政治思想史を私鉄沿線の単位から読み解いた本ですが、これはなかなか興味深い作品でした。 政治意識が強く、元々共産党などの革新勢力の地盤であった旧国鉄の中央線は、戦争で壊滅的な被害に遭ったあとも、政治的意識が高い沿線でした。 特に中野周辺は今も共産党の支持率が高いことで有名ですね。 一方でロンドン郊外の田園をイメ […]

「黒猫の遊歩あるいは美学講義」 著 森晶麿

「黒猫の遊歩あるいは美学講義」 著 森晶麿 アガサ・クリスティー賞の第一回の受賞作品ですが、面白いです。 新人作家のレベルじゃないです。 ミステリーというと血なまぐさい殺人などを思い浮かべてしまう人がが多いと思いますが、この作品は血なまぐさい殺人などなくても至極なミステリーが成り立つのだということを証明しています。 日常の中で人々の想いによって積み重ねられた事実が他人には突然謎に見えるものなんです […]

「ゼロの焦点」 著 松本清張

「ゼロの焦点」  著 松本清張 松本清張の代表作の一つですね。 何度も映画化・ドラマ化されている作品です。 名作として世代を超えてこれだけ多くの人を惹きつけている理由は、一つは単純に推理小説としてのストーリーの面白さがあるからであり、もう一つはこの作品が持つ社会性にあると思います。 まずストーリーとしての面白さですが、この作品の特徴として、事件の謎解きをして行くのが、刑事や探偵ではなく、普通の若い […]

「宮部みゆき責任編集 松本清張短編コレクション 下」 著 松本清張

「宮部みゆき責任編集 松本清張短編コレクション 下」  著 松本清張 宮部みゆきさんが編集した松本清張さんの短編集の下巻です。 この本に収録されているのは、 「支払い過ぎた縁談」 「生けるパスカル」 「骨壺の風景」 「帝銀事件の謎」 「鴉」 「西郷札」 「菊枕 ぬい女略歴」 「火の記憶」 の八編です。 個人的に面白かったのはやはり「西郷札」。 そもそも西南戦争のあたりの歴史に非常に興味があり、色々 […]

「団地と移民 課題最先端「空間」の闘い」 著 安田 浩一

「団地と移民 課題最先端「空間」の闘い」  著 安田 浩一 高度成長期に日本中に作られ、かつては最先端の生活の場であった団地の今のルポです。 団地のイメージは、世代によってだいぶ違いますが、わたしの子どもの時には団地に住んでいる友達はたくさんいましたね。 団地には公園などもあるので、自然に集まる機会も多く、とにかく人が行き交う場所であったと思います。 ただその団地がいつの間にか変貌してしまっている […]

「点と線」 著 松本清張

「点と線」  著 松本清張 松本清張さんの代表作ですね。 清張作品の中でも1,2位の人気を誇る作品です。 クリスティーの作品などにもいえることですけれど、後世に残る推理小説の共通しているのは、無駄なものがないということにつきますね。 謎に包まれた状況、ありえない状況を目の前に出されて、それを読者に追わせ、果たしてどうなるのかとドキドキさせつつも、後半に一気にほとんどの謎がクリアになっていくという、 […]

「プロジェクト・ファーザーフット」 著 ジョルジャ・リープ

「プロジェクト・ファーザーフット」 著 ジョルジャ・リープ こういう話を読むとアメリカの底力を感じるというか、こういう面では日本よりもずっと進んでいるんだなというのを強く感じます。 アメリカで最も凶悪な町を舞台にしたドキュメンタリーですが、これはギャングの活動を追ったものではなく、ギャングになり、刑務所に送られて人生がメチャクチャになった男たちが自分の子どもに対してどう向き合えばいいのか、つまりど […]

「宮部みゆき責任編集 松本清張傑作短編コレクション 中」 著 松本清張

「宮部みゆき責任編集 松本清張傑作短編コレクション 中」  著 松本清張 宮部みゆきさんの選ぶ松本清張傑作短編コレクションの第二弾ですね。 収録されているのは以下の作品です。 「遠くからの声」 「巻頭句の女」 「書道教授」 「式場の微笑」 「共犯者」 「カルネアデスの舟板」 「空白の意匠」 「山」 傑作と銘打っているだけあって、外れはないです。 やはり松本清張はすごいですね。 続けていくつかの作品 […]